第十二話投稿は明日です。時間帯は未定ですが、いつも通り、7時台、17時台のどちらかに投稿予定です。
さて、前回報告の続きを書きます。先に第十一話をご覧ください。
逆に、描きたくても描けないシーンもあります。今回の第十一話で言うと、公爵令嬢達の散策デートです。なぜなら、完全一人称視点であり、かつ、兄妹が彼女達を追えないからです。しかし、前日の布石により推察が可能であるため、何が起こったかは、ある程度分かります。
これが、推察小説の醍醐味であり、推察力が高い兄妹がいなければ成り立たないことでもあります。ちなみに、彼らやイリスちゃんが主人公の探偵推理小説の場合、余計な被害も出ず、すぐに解決できるため、全く面白くない作品ができあがるでしょう。『こんな所にいられるか! 俺は部屋に戻るぞ!』を彼らは許しません。この先、何が起こるか容易に推察でき、説得もできるからです。それもある意味、『無双作品』として魅力があるのかもしれませんが、それこそ、読者の想像にお任せするとして、推理小説の『犯人』や『証拠』とは違って、『答え』がないからこその本作品だと思います。
一方、重要なことであっても、推察の余地がなく、全く分からない場合もあります。それは、例えば同話数のレドリー辺境伯とエトラスフ伯爵の打ち合わせ内容です。全てに余地があるのは都合が良すぎますからね。ただし、その場合は、すぐに内容が明かされます。そのことを二人が黙っている意味がなく、余計なリスクになると分かっているからです。
このように、物理的に詳しく描写できないシーンであっても問題なく進み、それが重要な場合もあるため、『この省略シーンは、あとでどのような意味を持ってくるんだろう』と考えながらお読みいただく楽しみもあるかと思います。本当に意味がないことは一行たりとも描写しません。各話冒頭の『〇〇日目』でさえ意味があります。