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第二十話投稿は明朝です→『触手研究家(自称)の俺と百合好き(秘密)の妹が触手に同時転生して女の子(例外有)を幸せにする~職種希望欄は触手希望欄だった!?~』

 さて、本作品では、いくつかのシステムが出てきました。もちろん、コンピュータシステムではありません。体系、制度の方です。現在までに内容が明らかになっているのは、料理著作権システム、それに関連した食材または原産地表示システム、城内食堂システム、そして、臨時選抜試験における採用システムです。具体的な人事評価システムや、ヨルンくん主導の教育システムはまだですね。また、システムに限りなく近いレベルで、レドリー辺境伯のパーティーの入退場も、ほとんどシステム化されていると言えます。
 では、なぜこれらのシステムをわざわざ詳細に描写するのか。実は作品内で、これまでにもこの先にも遠回しに言及されています。天才や秀才を描写する際、その多くは記憶力や処理能力、テストの点数、周囲の言葉だけの評価、あるいは周囲の知能を低下させる方法のみが多く見られ、具体的な成果やその過程が省略されてしまいます。仮に成果があったとして、現実離れした発明品を用いる方法もありますね。それは、私に言わせれば、誰でも貼れる単なる『ラベル』にすぎません。その説得力を増す一つの方法として、その人物の成果であるシステムについてを、どのような課題を解決するために導入され、どのように運用されているかも含めて描写しています。
 以前も似た話をしましたが、推理作品ならば、事件を解決、つまり答えに辿り着くことでその才能を披露することはできますが、本作品は『推察作品』であるため、その答えが明示されることは決して多くありません。だからこそ、答えに辿り着くために考えられる可能性を挙げているシーンについて、それらを一切省略しないことで、その才能を描写しています。逆に推理作品にない要素とも言えます。なぜなら、推理作品では答えだけでなく、その道筋もほとんど決まっているからです。
 また、推理作品の場合、『ノックスの十戒』でも言及されている通り、基本的に超常現象や超能力を持ち込めません。例えば、強い恨みを持った犯人が対象を滅多刺しにして殺害した場合、この世界での兄妹一行が真っ先に考えるのが、殺害方法よりも、お互いに催眠魔法がかけられていなかったか、かけられていたとしたら誰にどのような状況でかけられたか、です。そして、自分達にも被害が及ぶかもしれないと考えます。
 このように、魔法が存在する世界では、実行犯や実行手段に加えて、考えられる選択肢が膨大に増えてしまい、推理が成り立たず、本筋からも逸れてしまうため、戒められているのですが、この世界ではそのような都合の良い戒めは存在しません。魔法使いがいるのだから、魔法を利用して秘密裏に他者を貶める存在がいても、全く不思議ではなく、むしろいない方がおかしいはずです。特に、魔法が万能な世界においては。
 そう考えると、ファンタジー世界で純粋な『知恵』や『智慧』の才能を詳細に描写するのは、難しいと思いますが、本作品においては、私は単に登場人物の考えと行動を省略せずに描写しているにすぎないので、それほど苦労はしていません。カットや省略した部分については、いつか書くことができれば嬉しいですね。
 閑話休題。本作品では、システムの詳しい描写があっても、それは決して突拍子もないものでもなく、現実のシステムと類似、または拡張したものなので、想像しやすいかと思います。推理作品の探偵達においても、現実の事件の延長での推理なので、すごさを想像しやすいのと同じです。また、料理の描写も同様で、『ドラゴンの肉のシチュー』より『ビーフシチューのさらに美味い版』の方が想像しやすいことでしょう。
 最後に、詳細に描写したシステムも、やはり一回の登場で終わらず、二回以上登場します。二回目以降は、もちろん登場人物も読者も認識済みなので詳しく描写しません。もしも忘れてしまった際は、読み返してみると、また違った面白さを感じるのではないでしょうか。それも含めて、何度読んでも面白い作品でありたいと思います。

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