• 現代ドラマ

画面は思いやり発信局 天然な人付合い

 20代前半の頃。
 転職した女性の先輩元店員が、今、職場近くの居酒屋で元同僚と飲んでるから、来られる人は来てと、別の女性店員にお誘いのメッセージが届いた。
 僕は歳下の同僚と「あの人とは久しぶりだし、挨拶したいから行こうか」との話になった……までは良かったのだが……。
 
 僕は「「お久しぶりです」て挨拶したら帰る」と口にしてしまう。すると……、周りの同僚からは当然「居酒屋まで行って挨拶だけして帰る気!?」と、非難轟々な有様。中には、「それだったら最初っから来んなよって話だよ」こうとまで言う同僚もいた。
 だが当時の僕は、「挨拶して帰って何が問題なの?」この言葉しか頭に浮かばない程のド天然ぶり。

 「仕方ない……」と諦めて? 歳下の同僚と閉店後に、その元先輩店員が指定した居酒屋に行った。
 勿論、その元先輩の女性には「お久しぶりです。元気そうで何より」と挨拶をしたが、その序に「挨拶だけして帰るつもりでした」こう言うと、その人は「飲まなきゃ挨拶にならない!」と洒落っぽく笑みを浮かべて言う。
 その言葉を聞いて僕は、「ふうん。人付合いってこんなもんなんだ」と思いつつも、一緒に来た同僚に、「こういうの楽しくもなって来た」と呟くようにいうと、「そうでしょう。「宜蒼」」。
 そうです。「宜蒼」という名前が珍しかったのか、僕は歳下からも性別関係なく「のりあ」と呼び捨てにされていました。僕は「何々君」「何々さん」と敬称を付けていたというのに……。
 僕は別に、それ程の事でムカつきの感情を抱く人間ではないので、「まあ好きに呼んでくれ」とばかり思っていた。

 それは良いとして、その呑みは朝まで続き、帰りは始発で午前様…。
 それから3年が経ち、派遣社員となっていた僕は、やはり同僚の派遣社員達との呑みで居酒屋からカラ館へと「連れ去られ」、同じく始発で帰宅し午前様…。

 正しい人付合いは……僕にはちんぷんかんぷん。そんなものなのでしょうか?

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