僕が誕生する46日前に、母方の祖母は大腸癌で死去した。しかも僕の母、娘の29歳の誕生日の翌日に……。
なので、必然的に母の実家には祖母の仏壇がある。尚且、両親は地元で暮らしている。
母は買物など何か用事がある時には実家の父、祖父に僕を預けていた。だが、この行為が末まで続いてしまう……。
3時のおやつ時、祖父は態々クッキーやビスケットなどといった菓子類は、用意してくれる様な人ではない。僕の手を引いてリビングに向かう途中に、仏壇に供えてある落雁を持ってリビングへ…。
落雁。白や赤に着色されていて、菊の型などに固めてある菓子。
仏壇に供える菓子で、あまり子供は食べないのではないだろうか? というより子供の歯には硬い。
しかし祖父はお構いなし。落雁に牛乳…、このセットが僕のおやつ。過言だが、お供え物の落雁と牛乳で僕は育てられた……ようなもの。
なので未だに好きなお菓子は落雁……です。供える為ではなく、菓子として5つも6つも買って1つずつ食べて行く。
「あり得ない!?」だろうが、「あり得る」のでございます。それもこれも、あの今は亡きジジイのせいで。
「好きな食べ物、お菓子は落雁……です」っか。祖父に変な個性を付けられてしまいましたとさ。