柔和な顔、人懐こい顔、厳しい顔。人によって印象付ける「顔」があるが、僕はどれなのか困惑している。
何故ならば僕は全国どの都府県にいようが、道を歩いていると「ちょっとお尋ねします」。タバコを吸っていると「火を貸して貰えませんか」。「駐輪場のロックの解除の仕方が解らない」。「済みません。写真撮って貰っても良いですか」。この様に老若男女様々な見ず知らずの人から声を掛けられる。
無論、応じられる範囲であれば応じて差上げるのだが、しょっちゅうではないものの割と多い気がする。
仕舞には海外からの観光客の人、多分、中国か韓国のアジアの人達、年代も性別も国籍も関係ない。
たがいきなり中国語や朝鮮語で声を掛けられても、全く勉強していないので「この人は何と言っているのだろう」と、一瞬思ったが喫煙エリアだった為、声を掛けて来た男性はタバコを咥えているので「タバコを一本恵んでくれ」ではない…だったとしたら火? ライターを貸してくれと言っているのか? と思いジレのポケットに入れていたライターを「これのこと?」と見せると頷いたので、「じゃあどうぞ」とお貸しした。
または道を訊かれ、「ストレイト・ライン。ザ・バック。ザ・ライト。オールソウ。ストレイト・ライン」などと辞書で引いただけで合っているのかも解りはしない拙い説明をした事も…。
あのカップルか夫婦、ちゃんと目的地まで辿着けたのか気掛かりだが。
それだけではない。道、写真、ライターでもなく全く関係も脈絡もなく、夏の夕方に道を歩いていた時、サポーターで汗を拭っていたら、やはり見ず知らずの年配男性から「今日は暑いねえ」と声を掛けられ、咄嗟に「ええ。暑いですね」と返した事も…。
僕の顔は柔和なのか? 人懐こい顔なのか? 少なくとも厳しい顔ではないのは、確かな事実だ。