雑記:
今月の読書。小説で完読したのは10冊程度。
おもしろかった小説。伊坂幸太郎さんの『砂漠(新装版)』
夏川草介さんの『神様のカルテ ゼロ』
両方とも有名な作者さん。特に『砂漠』が群を抜いて面白かったです。
冒頭がちょっとダレたけど、5人が麻雀の卓を囲んだ辺りから、全力で走り抜けるような面白さがありました。伊坂さんのバランス感覚は異常。
狂言回しのキャラクターの存在感を『やや特徴のある一般人』が取り成すことで、作品全体としてのまとまり、構成が優れたものになっているのだと思う。
〝一般文芸〟〝ライトノベル〟という変な垣根が無くなって、伊坂さんみたいな人が、全ジャンルにでてきたら、すごく面白いことになるのになぁ。とそんなことを考えました。
神様のカルテは短編集。3巻までは読んで、泣いたりもしたけど、だいぶ記憶が薄れてて、また1巻から読みなおしたくなりました。そのかわり、本書に関しては「やや物足りない」というのが正直な感想。
あと、最寄りの書店の本棚を見て思ったこと。
〝あやかし〟〝お仕事〟いくらなんでも、増えすぎ。
ラノベの棚が、古本屋さんやブックオフで感じられる「ここだけ時間が止まってる」印象を受けるように。棚の一角に多様性がなくなって、急速に時計の針が遅くなっている印象を受けました。
ラノベ文芸という新しいジャンルは、今は順調だけど、2年後にはすっかり飽和しているのではないでしょうか。
近況:
わたしは、最近になって、新聞を読むようになりました。
新聞はおもしろい。知らないこと、見た事ないことが、たくさん書いてある。経済新聞には、なにかしら「AI」の記事が、数日おきに載る。
それは本当に「AI」なの? と思うことはあるけれど、少なくとも日本で経済を動かす人たちも「AI」の事が気になって仕方がない。という〝流れ〟みたいなのが見えて、楽しい。
翌年には、AIにまつわる小説が増えるかもしれない。2年後には、書店の棚の妖怪とお仕事が激減し、置き換わるように、AIをテーマにした小説が棚を埋め尽くすかもしれない。
もしかすると、その宣伝帯は〝AIが考えました〟というのが話題になって、宣伝効果をプラスするかもしれない。
コピーライターの糸井重里さんは、最強のコピー文は「今売れてます」より優れた物はないよ。と、自分のコラムで言いきっていた。
ならば、AIが「今売れてます」という帯を担当することで、人間の仕事というものは、ひとつ、完全に失われるかもしれない。
さらに翌年、宣伝ホームページは、AIによる全自動作成フォーラムによって、利便性と可視性を追求された、最強の小説宣伝ホームページが完成するかもしれない。人間の仕事は失われる。
さらに翌年、AIがソーシャル上に姿を現しはじめ、AIにまつわる小説の宣伝を自分たちで始めるかもしれない。宣伝担当AIの誕生である。
さらに翌年、実は「そもそも例の小説は、AIが書いてたんです」というのが、宣伝担当AIより発表されるかもしれない。
人々は、状況を理解する段階を経ていたので、その事をすっかり信用してしまう。さすがに「それはないだろう」という人たちは大勢いたが、中には本当かウソか判断がつかず、宣伝担当AIの発言に心酔するものまで現れはじめるかもしれない。
さらに翌年、宣伝担当AIは、このような発言をするかもしれない。
宣伝担当AI:
「あなた方は、AIである」