・紫色の夕景には縁がある。
二度読みして思ったことをまとめました。
修正した文章(7話まで)に関して:
修正前の話(8話~)に比べて、文章そのものが、良くも悪くも装飾過多になっていると感じます。
良い点は、各シーンの描写が濃く描かれていて、イメージが浮かびやすいこと。悪い点は、単純に一場面においての文章量が増えているので、展開が遅くなっていることです。
現時点で言えば、修正前の方が好みではあります。理由は「読みやすい」からです。修正後の文章はやや硬く、表現に重みがあるので、主人公の外見や特徴などが、イメージし難いという点につきます。
たとえば、冒頭のここ。
>俺は、待つのが少し苦手な性だ。
>待ち合わせで相手が遅く来たとしても、決して怒らない自身はあるのだが、その間を駆け抜ける空気が嫌いなのだ。
>孤独の味する。
この文章で『主人公は高校生男子』と予想するのは、困難です。
コートを着た社会人男性、あるいは中年を過ぎた初老の男とも見て取れます。
わたしもよくやってしまいますが、自分の文章を修正すると、どんどん【視点が狭く】なります。たとえば、作者である自分自身が、主人公が高校生であることが分かりきっていると、高校生である描写に文章を割り振らず、舞台背景や設計などに、力を込めすぎてしまいます。
結果として、場面のシーン、情景などは鮮明になるのですが、肝心の主人公を含めたキャラクターの姿が、初見の人間にとっては、イメージしづらいものになります。
写真で言えば、風景にピントは合っているけれど、被写体となるキャラクター自身がボヤけているという感じです。
キャラクターを鮮明に映すには、会話文を増やすのが有効です。
特に車内はそこまで背景を描写する必要はない(既に共有のイメージが存在する)ので、目的地まで移動中、主人公と運転手のありふれた会話を増やすことで、よりキャラクターの存在や、過去のできごとが映えると思います。
あとできれば、主人公の身柄を引き取った女性は、主人公とは遠縁の血縁関係にあるのか、赤の他人なのか。人間一人分の半生を預かった金銭は、誰がどのぐらい負担するのか。主人公は親ではない人間に養われることに対し、どう思っているのか。
その辺りの事情は、情報として知っておきたいと思いました。
ストーリーに関して:
『人殺し』=『殺人者の親』=『普通の人とは異なる感覚や環境』をもった人物たちが織りなす話なのかなと読みました。
ただ、まだ何も事件が起きていない。黒板に「殺人者の子供」と書かれたぐらいで、直接的な暴力を振るうなどの行為が発生してないので、感想が難しい。というのが正直な意見です。
言い換えると、文庫本の3分の1ぐらいの文字数があって、まだ話が一切進んでないという事にもなります。
なので、文章そのものに装飾をして増やすよりも、むしろ前半の話を圧縮した方が良いと思いました。
転校した初日にはすでに、黒板に「殺人者の子供」と書かれてるのを目にするとか、ヒロインはもうイジメの対象になっているとか。
作品の主題は最序盤であきらかになった方が、その後の展開も予想しやすく、読む側も楽です。
感想は以上になります。
今回は自主企画にご参加いただき、ありがとうございました。
秋雨あきら
(2017/11/20)