グレッグ・マキューン=署
高橋瑠子=訳(2014年)
先週読んだビジネス書です。とっても読みやすくて、オススメ。
本の内容を、超極端に解釈すると、こんな感じになります。
テーマ:
1日8時間以上寝る人間は、効率よく働けます。
=「睡眠は人間にとって、とっても大事なものですよ」
=「優れた演奏者は、統計で毎日8時間ていど寝ているという報告があります」
=「毎日、平均8時間以上眠るために、自分の人生を調整しよう」
=「その為に、人生で不要なものを捨てよう」
=「仕事が長くて8時間眠れなければ、仕事を見直そう。
人から余計なタスクを預けられるなら、返事をする前によく検討しよう」
=「仕事の内容に優先順位をつけよう。
自分の価値観、および自分の健康を何より大事にしよう」
=「一日8時間眠り、起きている時間をすべて有効に使おう」
寝ろ。一日8時間、なんとしても寝るのだ。人間よ。
その為に起きている時間、活動している時間を最大限に生かすのだ。
というのが、本書の大体の内容になります。たぶん。
個人的には面白い本だと思いました。
ただし内容には、結構(かなり)矛盾点を感じたところもあります。
本題となる『エッセンシャル思考』という言葉が曖昧であり、章によっては、毎日に変化をつけようと述べているところもあれば、一流のアスリートは毎日同じことをしていると言っていたり、文章の前後から、筆者の言いたいことを予測したり、自分で考えをまとめる必要がありました。
そもそも「essential」という単語自体が、日本人にはあまり馴染みがないと思います。
本来は、必須の、重要な、という意味合いを持つはずですが、本屋さんでタイトルを目にした時に、わたしも思わず
わたし:
「はぁ? えっせんしゃるしこー? かおーのしゃんぷーかー?」
とか思いました。
わたしの女子力の低さはどうでもいいのですが、要は本書の『エッセンシャル思考』の意味合いは人生で重要なものを見極めて、優先順位をつけよということです(たぶん)
具体的には、その時代のニーズに合わせた大局観を持ち、意識を組織単位で共有すること。
一つの物事へと堅実に、かつ深く取り組むこと。そのために、じっくり考える時間、場所を持つこと。
その中で、意識的に『必要なもの』と『そうでないもの』を見分けること。
見分けたら、必要なものにエネルギーを費やすこと。
そして筆者が『エッセンシャル思考』という造語を説明するのに『必要なもの』として利用したものがあります。
それが「毎日8時間寝る人間は、毎日寝てない人間よりよく働ける」というものでした。
本書はビジネス書でありますが、構成要素の高い『小説』としても楽しめます。フィクションの小説が、作中のキャラクターに対し、読者が自分の経験を思い起こして共感するように、本書もまた、現実の読者が「一日8時間寝るために、ちょっとだけ、自分の人生を振り返ってみようかな」と、自身の在り方を熟考し、共感に至ります。
誰もが共感できる考え方を『エッセンシャル思考』という造語に置き換える。そのうえで、大勢の読者が共感できる内容に昇華させる。2割の人間には「現実はそんなに上手くいかない」と切り捨てられますが、残り8割の人間には「そうだね。睡眠は大事だね」と賛同された結果、米国でベストセラーになりました。
自分の考え方を伝えるためには、まずはわかりやすい事例を用いること。
誰もが〝好意的に感じる〟例題をだして、自身の考えの結論へと導くこと。
そういった考え方を、本書を読んで再認識させられました。
(2017/11/13)