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【自主企画】 感想 2017/11/06 個人的ベスト

タイトル:
 キュウドウさん

評価:
 ストーリー:B
 キャラクター:A
 設定・舞台:B
 構成・バランス:B
 オリジナリティ:B+
 
総評
 今回の自主企画のマイベストです。理由は「あっ」って、読んでいる最中に声をあげたから。他にも読んでて吹きだしたのはありましたけど、純粋に物語の内容に驚いて、声をあげたのはこちらの作品のみになります。

 短編なので、一応、再読して感想を書いてます。

 初読した時にも思いましたが、冒頭では「キュウドウさん」自身に対しての魅力は感じられませんでした。物語の内容も、まぁ戦時中ならそうだろうね。といった乾いた感想しかもてない印象でした。

 そして物語が終わるまで「キュウドウさん」というキャラクターに関しての評価は、あまり変わっていません。仮にキュウドウさんが主人公であり、彼の生涯を描いただけの物語であれば、わたしの評価は大きく異なっていたはずです。

 物語に惹き込まれた要因は、語り部である、主人公の『祖母』の存在でした。
 気の触れた男、しかし最低限の仕事はして稼ぎを献上し、(おそらくは)暴力などを一切振るわず、せっせと頭のおかしい絵を描き続けるだけの男。
 彼を見守り、ちょっとだけ結婚を考えるけど、亡き祖父のことを思いだし、そうはしなかった。当時の『強い女性像』が短編の中に濃縮されており、物語として描かれなかった裏側には、どんなドラマがあったんだろうと連想される要因になっています。

 そんな祖母の為に、頭をおかしくさせていた弾丸が抜け落ち、これからは恩返しをするぞと張り切るものの、上手くいかず、むしろますます様子がおかしくなって死ぬ。というのに妙な説得力があります。

 話としては、冒頭から終始ギリギリの綱渡りをしており、私も「ここで読むのやめようかな」と思ったのも本音ですが、前述したイケメン祖母が現れて、さらにキュウドウさんが死に、そしてもう一人の存在が現れたところで、ぐっと惹き込まれました。惹き込まれた瞬間、話が終わって、逆に印象深くなりました。

 気がつけば、本当にギリギリで渡り切った。という感じです。

 あと再読して思ったのですが、物語自体のジャンルは、なんというか、確かにホラーなんですが、べつに「怖い」という印象はまったくありませんでした。むしろ、祖母が格好良く、物語の最期に登場する『彼女』は実に魅力的というか、もっとこの女性の話を読みたくなりました。

 っていうか、作者さん。

 次は社会人ラブコメとか、書いてみる気ありません? 

 主にダメ男と、仕事のできる女性と、変な女性の三角関係とか(略)

 なんかそういうの、書けるような方の気がします。(無責任)

コメント

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