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【自主企画】感想 2017/10/24


タイトル:
 BARノスタルジアへようこそ~日下部悠司のアルバイト記~

評価:
 ストーリー:C+
 キャラクター:B+
 設定・舞台:C+
 構成・バランス:C
 オリジナリティ:B+

良かった点:
 日常のさりげない〝違和感〟の表現です。たとえば、ハンガーにかけた服が繰り返し落ちるので、その事に関して「何かおかしいな」と気にかけて、大学の友達へ、話題を振るついでに相談として持ちかけてみる。というのは自然な流れに見えました。
 こういうのは本当に些細なイベントですが、いざ物語を作る時になると馬鹿にできません。
 大勢の人は『部屋に幽霊がいる話を作れ』と言われたら、率直に心霊現象を想い浮かべます。なのでラップ現象や、蛍光灯が不自然に点滅するなど、大体が似た展開になりがちです。ハンガーから服が落ちたので、幽霊がいるかも。という発想に思い至るのは少数だと思います。

 これは得難い『才能』であって、才能は磨くと『技術』になります。自然な出来事から物語を展開させる手法は、とかく応用が効きます。


悪かった点: 
 キャラクターの関係性が希薄にすぎると思いました。まず主人公を挙げると、祖母から「誰かを守るために強くなりなさい」と言われ、空手を学んだが黒帯まではいけなかったとあります。
 過去のできごとは、モノローグで描かれていますが、肝心の「強くなりなさい」と言った祖母の描写が一行もありません。
 たとえば、見ず知らずの、偶然すれ違った他人から「もっと熱くなれよ!」と言われても「は?誰アンタ?」となるのが自然なように、祖母の事を知らなければ、共感も難しくなります。
 言いかえると、祖母はたいへん立派な人であった。と読者に伝えることができれば「強くなりなさい」と言われて、強くなろうとしたが、黒帯だけは取れなかった。という主人公にも共感できます。
 これは他のキャラクターに関しても、まったく同様でした。
 バーテンダーの女性のことが描かれてないので、バーテンダーさんはすごいと主人公が言っても、説得力がありません。
 従姉と再会して、彼女を守らねばと言ったところで、過去の従姉の描写が一行もありません。特に従姉という存在は、ほぼ他人という人も大勢います。

 あと注意したいことは、キャラクター複数名のプロフィールを同時に展開させると、結局のところ【誰が主人公で誰がヒロインなのか?】という疑問が浮かぶことになります。
 これを明確に判別させる方法は、とにかくたくさんセリフを作ることです。特にストーリー上のメインとなる主人公とヒロインには、お互いの気持ちをぶつけたり、内面を語りあわせるのが最善です。読者の視点もまた、自然とその二人の関係性に集中していきます。
 そして要となる事件が、その二人のどちらかをキッカケにして始まるのであれば、上述した『才能』と『技術』は必ず生きます。

 長所と短所が明確な事は、悪いことではありません。
 むしろ何かを境に、爆発的に伸びる可能性を秘めています。
 本文がその一助になれれば、幸いです。

 感想は以上になります。
 今回は自主企画にご参加いただき、ありがとうございました。

 秋雨あきら
 2017/10/24

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