おはようございます。支度整ったので、読みます。
アニメ版BEATLESSを楽しみに生きてます。
BARノスタルジアへようこそ~日下部悠司のアルバイト記~(再読)
・恋人のカサブランカから読み進める。
・「どこぞのダンディな社長のパトロン」という表現にちょっと笑う。
・だけど確かに、店をもってる若い女性バーテンダー(オーナー)って、何か理由がないと難しい。
・キャラクター配置を自然にするなら、BAR店主を妙齢の男にして、大学生を女性にした方が良いのは確か。あと、ここが格好良すぎに思えた。
(引用)
「理由なんてありません」
「え……?」
「助けたいと思ったから助けた。それだけです。俺はあなたに死んでほしくない」
「……どうせ、赤の他人でしょう」
「たった今、知り合いになりました」
「………」
(ここまで)
・わたしが観衆としてその場にいたら、申し訳ないけど、声を押し殺して笑う。
・乙女ゲーとかならアリだと思う。仮に主人公が女性で、男装してこのセリフを平然と言い放ったらファンは付きそう。ようするに、世界観をどこまで現実とマッチングさせるか。非現実であることを先に明言しているならば、こういうセリフが出ても(その世界観では)おかしくない。
・だけどこの作品では、それが出来てない。ありふれた現実で、どこにでもいる平凡な主人公のセリフとしては、いくら正義感が強かろうが、違和感が勝る。
・死にたかった女性の悩みを聞いて、話を進めようとする。
・やっぱり展開が急。これならいっそ、主人公を超絶イケメンにして、主人公にバーテンダーをさせた方が良いはず。率直に言えば「俺スゲー」タイプの主人公。
・現状、主人公の性格、能力、世界観、舞台背景が合ってない。単純に、主人公が人助けをして、困っている人を救うという話にするなら、主人公の能力を上げきって、いっそ無敵にした方が良い。それならば「助けたいと思った。それだけですよ」というセリフが自然になる。
・だとすれば設定も自然に変わる。BARのオーナーが主人公になって人助けのキッカケを作り、それをサポートするのが、霊感を持つ大学生アルバイトの配役になる。
・1話を読んで思った感想と一緒。文章の至るところ、何気ない日常の各所に光るセンスはあるけれど、登場人物の関係性が希薄。希薄であるから、キャラクターの性格も方向性がブレてしまう。
・でもこちらの作者さん、異世界転生系の話、あるいは現代で主人公が無双するタイプ、主人公の強さを際立たせることで、ドンドン物語が進行していくような話を書く素質がありそうに思う。
・いっそ主人公を平凡にせず、目立つ場所で、目立つような行為を晒してみる形にして物語を書けば、おもしろいものが出来るのでは。
・その他、思ったこと。
・主人公を大学生の男性にしたいなら、まずはきちんと、各章のメインヒロインを決めてしまう。各章ごとに違う女性が出て、その人物を中心に話が進むなら【この話ではこの娘が主役なんです。主人公の事をこんな風に思ってるんです。好きになるんです】と枠を決めて、とことん女性を可愛く書く。書きまくる。他の人物は脇役だと決めて、最低限しか書かない。
・自分が産みだしたキャラクターを、等しく愛するのをやめる。
・徹底的に差別する。
昨日から「小さな宝箱」が気になっていたので、まず再読。メモ。
小さな宝箱(再読)
・主人公と、手のひらサイズ(15cm)の騎士アベルのキャラクターの組み合わせが良い。
・主人公はアンティークショップで購入した「宝箱」が蠢いているのを見た時に「入っててもゴキブリでしょ」と言って箱を開ける。
・私的な感想になるけれど、この時点で、主人公に好感をもった。
・「自分からなんとかするタイプ」だなと。言い換えると、現状(環境)に問題が発生しても、この主人公が居れば些細なことはどうにかなる。能動的に問題解決のために動くキャラクター像が見えた。
・他にも理由付けとして「宝箱の中に竜が入っている」という、割と妄想に浸るタイプだし、そもそも宝箱型の小物入れを気にいって購入するという辺りが、属性として「夢見がち(人によってはちょっとイタイ)」んだけど、現実ではしっかり仕事してそう。と好印象をもった。
本作のキャラクターの組み合わせを言葉で例えたら
・「夢見がちだけど、現実も見て、割としっかりしてる女性」
・「小さくて態度が偉そうな騎士だけど、相応に能力が高い男性」
という感じで、キャラクターの組み合わせがいい感じにハマっている。どちらも短所と長所を併せもっていて、良くいえばとても人間くさい。この二人が、事件解決に協力しつつ、自然と恋愛関係に発展するなら、読者は楽しく読めるはず。類似するタイプをあげれば、有川浩さんの代表作『図書館戦争』等。
・この作者さんは現代物でもいけると思う。むしろそちらの方が合っているかもしれない。
本作の欠点
・冒頭がやや長い。
・この話を読み進める最初の鍵は【小さな宝箱を開けたら小さな騎士が出てきた】という事なのだから、【小さな宝箱を買った】というエピソードは、それこそ「ある日、小さな宝箱を買って帰った」の一行で済ますことができる。類似例は「ある日、トラックに挽かれて異世界転生した」
・主題になりえないエピソードは、最短一行で済ませる。
・逆に良いところは、物語の構成そのものが良い。
・騎士アベルの異世界事情は気になるところだけど、これをいきなり冒頭で語らせてしまうと、主人公の私生活などが見えなくなる。
・主人公が大学生であることを語り、騎士の傷の理由を語り、ワンルームのこたつを中心に、淡々と何日か経過したあと、少し気を許した二人がおたがいの事情を打ち明ける。という展開。
・普通の恋愛ものなら、ここから共同生活が始まっていくんだろうな。と思わせるが、相方に歳の差ならぬ、身長の差の壁が立ちふさがるので、その問題をどうやって片付けるのか、どう進行させるかは興味深い。
・この系列の話は【二人の関係がどういう形で決着がつくか】だと思うので。個人的に結構いけると思うの。この話。
・結末。
・アベルが大きくなる。デートに出かける。楽しく遊ぶ。予感。
「元の世界に呼ばれている。帰らないと」抱き合う二人。
・アベルが消える。彼の面影を探す主人公。雑貨店も消失。終わり。
・ 終 わ っ ち ゃ ア カ ン や ろ 。
・せつない! せつないけど、ここで終わっちゃあかんやつ!
・いろいろやり方はあると思うけど、きっとまた会えるよ。と約束を交わすとか、なにかこう…もっとこう…胸がキュンキュンしそうな、何か欲しいんですよ先生!(無茶振り)
・どうするか。
・難しいけど、一つは連作短編にして話を続ける手法。
・アベルが帰った後の世界。たとえば戦争が起きているアベルの世界が平和になって10年後、今度は主人公の娘が、異世界に数日旅立ち、アベルの息子と出会う。というシチュエーションで繋げても面白いかも。難しいけど。
・物語が綺麗にまとまっている分、本当に難しいと思うんだけど、このまま終わってはいけない。
・物語の結末で求められるのは、主役二人の関係性の変化。それと
【主人公の変化】だと思うから。
・恋人になりそうな男子がいなくなりました。もう会えません。
・じゃあ【主人公は何がどう変わりましたか?】と問われた時に、解答できるものがない。
・現実的に挙げられる可能性としては、同棲していた男子がいなくなり、恋をすることに積極的になった=人恋しくなって、現実で新しい恋人を作ったということ。
・ファンタジー的には、いなくなった相手の面影を探して、彼の語った歴史に近い外国を巡ってみて、その痕跡を見つけるとか。現実でムーンストーンを送っているのだから、彼の墓石に月の彫刻が掘られていたとかあってもおもしろい。さらにそれを機に、主人公が旅行代理店で働くとか、CAになったとか。異世界の恋人がいなくなったというエピソードを、主人公の将来に結びつける。本人は消えてしまったけど、主人公の生きるべき指針の一つになって残っているとか、パターンとしてはいろいろ出来る。
・まとめとしては、2点。
・物語冒頭の簡略化と、結末のエピソード追加(主人公の精神的成長に繋がるものであれば尚良い)
(追記)
タイトルが少し地味かもしれない。単純に大小を組み合わせたら。
「小さな箱から広がる世界の話」とか。
・「月の石」をキーワードに持ってくるのもいいかもしれない。
・「小さな宝箱」だけでは、話の連想が難しい。
以上かなー。おもしろかった。