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【自主企画】感想ページ④

タイトル:
 雨もしたたる良い河童

評価:
 ストーリー:C
 キャラクター:C
 設定・舞台:C
 構成・バランス:C
 オリジナリティ:B

総評:
 まずこれだけは伝えたい。と思ったことが1点あります。それは、話を書く順番を間違えているという事です。
 この話の本筋は、女子が自称河童を名乗るイケメンに声をかけられ、嫌がりつつも一緒にいる。という内容ですが、肝心の女子の過去情報が、三人称視点で「こういう事がありました」としか語られません。結果として、読者がキャラクターに共感するのが難しい構成になってしまっています。

 特に過去の出来事は、モノローグでもいいので、きちんと描いた方が良いです。そうでなければ、現在の主人公の行動に説得力が生まれません。主人公が、イケメンの告白を振ったとしても、後から説明を加えても、読者としては「一般論としてはそうだね」と、納得せざるを得ない形になってしまいます。

 大事なのは、出来事を時系列にして並べるのではなくて、当事者である登場人物たちが、その時に得た感情や気持ちを、一つのエピソードとしてまとめることだと思います。

 そして、そうしたエピソードがあるから、同じような体験をした読者は共感をもち、該当するキャラクターに対しても、いろいろな感情を抱くようになると思うのです。

良かった点:
 本作の評価点は総じて低くなっていますが、仮に「文章力」という項目をつけるなら「A」をつけます。
 読んでいて、あまりにも文章がこなれているというか、普通にプロいなこの人と思ったのです。ただ、途中で(失礼ながら)「やっぱり違うな」と判断しました。

悪かった点:
 プロでないと断定した理由は、1つのエピソードの長さでした。
 私が言うのはおこがましいのですが、プロの文章というのは、基本的に無駄がありません。無駄がない理由は単純で『字数制限』があるからです。さらに『〆切』も存在するので、各話の独立したエピソードも、時間制限のある中で、おもしろおかしく作らねばなりません。

 特に日本では海外と比べ、マンガやアニメといった分野がしのぎを削っているわけで、時間制限のある「1話毎のエピソード」には、それはもう、ぎゅわああああぁーっと面白さが凝縮されているわけです。

 長編小説も同じです。本作の第一章が21話で構成されているなら、21話それぞれを開いた時に、少なからず「おもしろい」と思わせる内容であるのが理想になります。そして仮に、これを12話に圧縮して再構成しなさいと言われたら、12話に圧縮して「おもしろさ」を伝えないといけなくなります。

 大事なのは、1話毎にエピソードを意識して書くこと。さらにそのエピソードは、全体として見た時に、1つの共通するテーマとして成り立っており、同時に独立した「1話」としてのおもしろさも存在することです。

 感想は以上になります。
 今回は当企画にご参加いただきまして、ありがとうございます。
 また次に開く時がありましたら、よろしくお願いいたします。

 秋雨あきら。
 2017/10/17

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