タイトル:
DAATH ー深淵ー All's right with the World.
評価:
ストーリー:C
キャラクター:C+
設定・舞台:B
構成・バランス:C
オリジナリティ:C+
総評:
辛口の評価になります。まず、このお話で斬新な点があるか、新しい要素があるかと聞かれたら、私的には見当たりませんでした。
ですが、今回自主企画を開催して、同じ条件で冒頭から読み進めていく上で、続きを読んでみようと思った作品であるのも事実です。
その理由を単純に言ってしまえば、文章が上手かったからです。ただ、文章の上手さ、品質の高さは、けっして物語のおもしろさに結びつく要素とはなりえず。今回は途中で読むのをやめてしまいました。
良かった点:
主人公の少女たちが、一般的な感性とは違うものをもっていて、治療と称して孤島に集められている。現世と離れた場所で、表向きは不自由なく、気ままに暮らしているが……という話の主軸。
ありふれているかもしれませんが、現世から離れたい。もう一度、やり残したことを追いかけたい。と思う人は少なくないはずです。そして孤島に集められた、特異性のある少女たちという設定は、そうした願望を間接的に満たす条件を整えていると思います。
ただ、肝心のストーリーがそうした方向にいかなかった。示唆すべき人物や設定が欠けており、不足している要素を、主人公の特異な感覚が、幻聴や夢として捉えている。という曖昧な描写に頼りすぎている印象を受けてしまいました。物語の誘導を失敗している。と感じます。
良くなかった点:
上記の内容と重複しますが、物語が基本「病気(という世間からの認識)」の話題を取り扱うので、話が暗くなりがちです。話が暗くなるので、明るい、やさしい、可愛い。という要素も使わなくては、読み進めるのが困難な人がでてくると予想されます。
こちらの話は、途中から神や悪魔が登場しますが、まずは読者から共感を得られる要素を探して、そちらから先に、話を組み立てていく方が良いのではないかと思います。
理由としては、話の本質が「病気」と戦い、叶うならば治癒して生き方を模索する、女の子(キャラクター)の内面にあると思ったからです。
人は〝少しでも生きやすい場所〟を探しています。その時点で、その人は〝生きたい〟と願っているはずです。できればそういった姿を、何かしらの形で共感してもらえるよう、最優先で描くべきだと感じました。
正直、お話すべてに目を通しているわけではないので、そういったシーンが中盤以降に入っているのかもしれませんが、今回はそこまで読み進めることができませんでした。申し訳ありません。
感想は以上になります。
今回は自主企画に参加していただき、ありがとうございました。
秋雨あきら
2017/10/14