※5月24日 差分更新。
【G.D.フィースト】
戸松ハルヨシさんの作品。
【PR文のあらすじから】
・2020年。「製霊」ができた。
・今は西暦何年だろう。とりあえず時代イメージを近未来と仮定。
・主人公は高校生。幼馴染あり。主人公、男子。
・「製霊」に関してよくわからない。「製」という漢字が【機械製品】を連想させるので、後の「憑依」という説明文とやや一致しない。
・造語を作る場合の注意点。相対する言葉を組み合わせてしまうと、どちらが主体なのかわからなくなる危険性を孕みます。
・【製】=人工的、機械的なイメージ。
・【霊】=実体のない、魂のようなもののイメージ。
通常の【精霊】だと、精神、霊的な、ということで言葉として成り立っているので、それを別の漢字であてはめてしまうと、ややこしいことになってしまいます。
・主人公、立花馨(タチバナ・ケイ)かな?
・幼馴染は凛(りん)。九尾に憑りつかれた少女。
・馨は彼女の救出に向かう。
・PRの箇所、第5話【狐祓い】
・馨と九尾のバトルシーン。
続き。
・冒頭。文章を二つに分けた方がいいところが多い。例えばここ。
ーー*
『普通の人間』ならば、九尾のあの大きく鋭利な爪で腹を貫かれれば即死といかずとも遅かれ早かれ死ぬ。
↓
『普通の人間』ならば、確実に死ぬ。
九尾の大きく鋭利な爪で腹を貫かれれば即死だ。
九尾の強さ、ヤバさを強調するのであれば「ぜったい死ぬ」と言いきってしまった方が良い。それから文章は短い方が、インパクトが強い。
もうひとつ、単語の順番を入れ替えたりして、どんどん文章を短くした方がいいと思ったところも結構ある。
ーー*
馨は空いた右手を背中に背負った濃い紫の布に包まれたものに伸ばした。そして金色の小さな留め具を器用に外すと、布が中に入っていた物に弾かれるようにして舞い、ほどけた。
それに包まれていたのは日本刀だ。鞘は漆で艶やかに光り、その柄は紅色の柄巻で彩られている
↓
馨は空いた右手を、自らの背に伸ばす。(動作を強調)
背負った濃い紫の布が開かれ、留め具が外される。(受け身)
カタナと呼ばれる殺傷兵器――日本刀。(体言止め)
鞘は漆で艶やかに光り、柄は紅色に彩られていた。
行動の一部始終の末尾を〝た〟以外で続ける。体言留めの後で〝た〟で終わらせると、全体的に文章が締まる。その後のセリフ「出番だよ」は、とてもカッコイイ。一言が短くて強く印象に残るから。意外とこういうのって出てこない。
【他、気になる点】
素戔嗚。という漢字。検索して出たけど、スサノオ、かな。神様の。
ルビを振ってあげるか、難しい漢字はカタカナで統一すると、わたしの様な読者がとても喜びます。
続き。
・日本刀から「スサノオ」が現れる。
・圧倒的な実力差。九尾を追い詰める。
・セリフ回しや雰囲気は、演劇のそれに近い。
・映像やマンガのコマ割り等による「動くカメラワーク」と違い、客席に座り、演劇の固定された一場面を見るような緊張感にあふれている。
・必然、客席であるわたし(読者)から見て、舞台に立つ登場人物は「横向き」である。あるいは主役である馨が、スサノオが宿った刀をもって、こちらに斬りかかってくるような光景にも映る。その場合、馨は読者であるわたしに正面を向いているはず。
この一連のシーンは、非常に格好良い。
ただそれ故に気にかかる部分がないわけでもない。
(引用)
素戔嗚をその身に降ろした今の馨には、両者の間にあるほんの僅かな左斜めの隙間が見えていた。
ミリ単位、いやそれ以下か。それはあの毛糸に込められた魂の隙間を無理やりこじ開ける術式の効果だ。
この場面を停止した時に「〝左斜め〟」というのが、どういう配置での左斜めであるのか。人物に憑依した馨、あるいは作者のイメージする絵と、この作品(演劇)を見る読者の目が乖離してしまっている。この辺りの相互認識のズレは、できれば統一した方が良い。そうすることで、さらなる迫力感が増してくる。ゾワゾワしますな。
続き。
・スサノオを憑依させた馨。九尾と凛の魂の接続を断ち切る。
・あとは九尾を殺すだけ。激昂する九尾の攻撃を交わし、尾を切る。
・浮かんだイメージは牛若丸。
・力を速さでいなし、跳んで、技の連撃を浴びせる。格好いい。
【細かい指摘】
文中に「その」or「それ」という単語が多い。
ctrl+fで検索をかけて、削れるところは削った方が良い。
文章のリズムが良くなる。
続き。
・九尾を追い詰める馨。九尾はなにかに気づく。
・気づかれた事実に馨は余裕を失う。九尾にトドメを刺す。
・伏線を一つ残して決着。PRシーン終了。
面白かった。戦いの場面は格好良いと思った。ただ一点、ここで振り返って気になったのがタイトル。G.D.フィーストってどういう意味なんだろう。「GOD・フィスト」で、神の拳? とか思ったけど、違うような、当たらずとも遠からずのよーな。
とりあえず、幼馴染を助けた後日談があると思うので、
区切りが良いところまで読み進めます。
続き:
・凛を無事に救出。
・彼女の記憶を封印しようとする馨。
・成功の手ごたえ。だが記憶は封印されなかった。
・封印が効かない理由。凛の存在が高位である可能性。
・本局というキーワード。製霊の研究所の中心部。
・やや字の文章での解説が過ぎる気もした。駆け足気味。
・新しい製霊。銀遼(ぎんりょう)という狼。
【気になった点】
・製霊という単語の必要性。
・これはいわゆる「式神」だよね。微妙な差異があるとすれば、道具に宿っているという特徴があるだけで。
すでにその辺りは「陰陽」といった単語が、日本文化、もしくは日本のファンタジーとして定着済みだと思う。
たとえばの話。
なにか【槍みたいなもの】に宿っていた九尾が【鋼の尻尾】を振り回すのであれば、製霊という特異な存在が、まだ生きたと思う。
もう少し尖った路線をあげるなら、現代兵器。
【散弾銃】に宿った九尾の尻尾が、ショットガンになってて、9連同時発射攻撃とか、ビジュアルとして面白いかもしれない。製霊という造語のイメージとも工夫次第でそこそこ合う、かもしれない。
とりあえず現状、製霊と呼ばれるものが、普通に物に宿っている神様であり、人と同化して超パワーアップするという設定は、すでにやり尽くされている。
仮にこれが近未来を舞台にした、陰陽道のバトル物、術式だのなんだのか登場するなら、制霊という造語はいらない。逆にアイディアとして、前述の【尻尾がショットガンになっていて、秒間で900連発をブチかましてくる、サイバークローンの九尾の狐】とかだったら、制霊という言葉もアリになってくる。かもしれない。
個人的には変な作品が好きなので、そういう尖った設定の方が読んでみたいですね(無茶振り)。
・とりあえず、一度休憩入りますー
(5月16日)
ーー*
5月24日。
作品が面白そうだったのと、一通り、自主企画ノルマを達成したので、続きを拝読。メモ。
第7話。
・文中に「その」or「それ」が多い。
たぶん作者さんのクセ。検索をかけ、削れたら削る方が良い。
・「男」という単語も頻出。同じ単語を繰り返し使ってしまっている。
このクセを治すには、声に出しての朗読がもっとも確実で早い。
自分で読むのも有効だけど、他人に朗読してもらうのも、技術向上に繋がる。
第二章 第8話『爆発女』
・気になった点。『名有り』。
警察官、教師と異名を持つ人数が多すぎるような。
数が多すぎると、本当にすごいの? と疑問を抱いてしまう。逆に絶対数が多すぎることで、強さを誇張する場合は、明確な「ランキング」制度を利用している作品も多いですね。ワンパンマンとか。
『名有り』にも、もう少しわかりやすい階級がほしいかな。既に冒頭で出ているかもしれないけど。
第9話
・気になった点。やだ、この町、ちょっと物騒すぎない……?
学校帰りにパンク美少女に消し炭にされるのはご褒美だとしても、休日に服を買いに行くのが面倒くさいという残念な女教師が、虚空から金属バット持って落ちてくるとか、マジパネーション……。
お、親方ぁ! 空から婚期を逃しそうな〝女の子〟が!!
バッカおめー、なーに言ってやがんだい。そんな奴に限って、意外とカワイイと思ってたら男の財布以外にキョ―ミねーパヤーンなんだよォ!! 騙されんなァ!
親方涙ふいて!?
脳内でイミフな寸劇が起きるぐらい、物騒な町だなと思った(こなみ)
それはともかく、作品の世界観が、本当にワンパンマンに近い感じがする。見方によってはギャグになってしまうというか、うーん…でもこれでも良いのかな。わたし個人だと判断が難しい。
第10話~
・「沙織」と書いて「チョロいツンデレ」と読む女の子。わたしは知っている。こういう娘は、料理とか家庭科のスキルが非常に高いんだよ。テストにでます。だします。ギャップ萌え(誰も聞いてない)。
流れとしては、洗脳された少女をバトルして救い、味方の陣営に引き込むという展開。洗脳の使い手となる敵は、敵組織の主要メンバーを匂わせており、後の強敵になりえることを予想させる、少年マンガの王道的展開。
沙織に呼び出されて、深夜の校庭で異能バトル。
《ゴースト》の友人も戦闘に立たせる形になっているので、話の構成としては、とても良いと思う。
気になった点は、ぶっちゃけ、前回のボスである九尾と、沙織の能力が火属性で被ってるということ。九尾が火球を吐いて攻撃しているのと、沙織が《アグニ》を駆使して戦う光景は、細かな差異はあるものの、基本的に展開が同じ具合にまとまっている。
あとは、九尾とのバトルの方がスリルもある。今回のバトルはなし崩し的な『消化試合』にしか見えないところがあって、わたし的にちょっと物足りなかった。
じゃあどうすればいいのか。
案としては、馨に極力戦闘をさせない、という手法が使える。
《ゴースト》の友人、祐樹をサポーターにするのではなく、祐樹が沙織を倒す構成を作り上げる。書いておいてアレだけど、かなり難しいと思う。
攻撃特化の美少女アタッカーを、悪友ポジのサポーター能力使いが、タイマンでブチ転がすとか、普通に考えて無茶である。
難しいし、べつに主人公の馨が倒してしまっても構わんのだろう? というアレではあるのだが、逆に言えば、この戦闘の要は当然馨だと思われるはずである。まさか祐樹が沙織を倒すとは、誰も思わない。
だからこそ、ここで、祐樹が沙織を倒せたら。
かなり面白い展開になると、個人的に想う。
仮にこの展開を採用せずとも、バトル用のプロットとして、できれば祐樹が沙織を倒すという話だけは作っておいた方がいい。後のバトルで似た様な展開が起きた時、こういった『予備のプロット』は確実に生きてくるからだ。
バトルというのは、そういう風に『能動的に予備を作らないと』ストックが尽きる。絶対に尽きる。負けパターン、引き分けパターンも考えておくと捗るぞ。9割9分没になるがな――と教わりました(お前の言葉じゃないのかよ)
ひとまず、ここまで。
5月24日 秋雨あきら。
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