わだつみ

私の想いを乗せた透明な糸は、物体の輪郭と輪郭を軽やかになぞっていく。世界を駆け回るその糸の行き着く先は、いつもビビヌッコアユナの元だった。

「私」のクラスにいる能勢加奈という大人しい女の子が、半ば押し付けられるような形で合唱コンクールの審査員をすることになってしまう。 決定の経緯が酷いと感じた「私」は加奈に声を掛けに…

ーー幼馴染が、ケーキになった。 　高校2年生の青葉澪は、風邪で学校を休んだ幼馴染の芹沢茜音をお見舞いするため、彼女の家を訪れた。 　ところが部屋に入った途端に感じたのは、こも…

港町。突堤。雨。酒。 長い髪、ほほえみ。波間のひかり。 わたしは、恋をしていたのだろうか。 いまでもわからない。 もう、二度と、わかることはない。

私は恋愛が嫌いだ。恋愛が絡んだ「好き」が嫌いだ。だからあの人に向けるこの「好き」は、酷く純粋な憧れだった。そのはずだった。彼女の声も、表情も、煙草の吸い方も、ギターを爪弾く指使い…

「期待する子」が、人生に迷って「期待しない子」に相談する。 「期待しない子」ならではの生き方に感銘を受ける「期待する子」と、「期待する子」のあまりの明るさに驚く「期待しない子」の…

大切な人に見放された時、心はどうなるんだろう。 その後は？ これは、私と妹との、心の物語。

恋人への深い愛から生じる疑心と不安。信じたいという気持ちと独占欲の葛藤に苛まれる女の、短くて長い雷雨の夜。

地下アイドルとして活動していた「私」だが、人気も実力も伸びずに夢を諦めかけていた。しかし、熱を持った視線で自分を見つめる少女の存在に気付き、再び歩み続ける決心をする。

「サキのタトゥー、好き……」 「可愛いでしょ。お気に入りなんだ」 　たわれるように舞う二匹のジャコウアゲハ。一目で魅了されてしまった。蝶の羽を描いている繊細なグラデーションに、い…

昼休みになると音楽準備室に駆け込む。 ここだけが、私の居場所。

「飛ぶ教室」第57回作品募集　二次選考通過作品

高校の卒業式も終わった３月の半ば。 主人公の灯里は親友の上京を見送るために駅のホームにいた。 けれど、その心情は決して喜ばしいものではなかった。 この作品はpixivでも公…

　私を見出(みいだ)し、開花させてくれた女性(ひと)がいた。秋も深まってきた今の時期、蝶(ちょう)が飛ぶ姿を見るたび、私はあの頃に想いを馳(は)せるのだった…… 　小説家になろ…

無限に続く不思議な水族館に閉じ込められた佳帆は、出口を求めて水族館を探索する中、一人の少女と出会う。少女は佳帆の妹と同じ「りお」と名乗り、佳帆のことを待っていたと言う。少女ととも…

わちお様主催：「【第4回　条件作文】　指定された文章を用いて短編物語を作って欲しい！」に参加させていただきました。 条件作文の文章がとても素敵で刺さったので、私なりの短編に落とし…

桜咲く新学期。それは教室で二人、昼食を終えた後の事だった。 「優ちゃんはさ……」 「んー？」 「好きって、誰かに伝えた事ある？」 いつまでも後ろについて来るだけと思っていた幼…

理系科目中心に成績優秀な学級委員長北条みゆきは先生や生徒からの信頼が厚い。しかし彼女は自分の欠落している点に気付きかけていた。ひょんなことからクラスの大人しい天然美少女南山こだま…

黒衣は女の子を着せ替え人形にしたかった。 真白は誰かに養ってもらいたかった。 利害の一致。 二人は一つ屋根の下で暮らすことになる。

公園の中、晴は紫苑という少女と出会う。 紫苑はとても美しく、晴はそんな紫苑に惹かれていく。 こちらはnote、Nolaにも投稿しています

すこし怠慢気味な性格の高校二年生の月道朱莉は、なんの変哲もない日常を、友達である花寄比奈綺と共に過ごしていた。 そんな平常なある日、姿が見えない幽霊？の少女、クロと出会う。 彼女…

少女・花は、親友・桜と同じ相手を好きになってしまった。 花は自分の気持ちを桜に悟らせないようにするが、秘めた気持ちにもやがて限界が訪れるようになり……。 悩み葛藤する日々を送…

これは、なんてことない少女達の物語。 あなたの街の、とある地域にいるかもしれない。 少女達が人知れず紡いだ、たった一度きりの青春群像劇。 ※連作小説形式

私は女子校の同級生である里絵と関係を持っていたけれど、里絵は死んでしまった。後には彼女が愛した桜の木が残る。…本当に彼女は桜を愛していたのかな。里絵はときどき桜にナイフを突き立て…

540文字短編

お題をいただいたのでここに供養する

時は1941年。戦争の足音が迫る中、女学生幸子には憧れのお姉さまがいた

家族との関係で悩みを抱えた女の子たちの百合心中です。

二〇一七年七月二十七日──彼女が亡くなった。 亡くなった彼女は何を思って私に手紙を書いたのか。私は彼女と過ごした中学生時代を思い返す。 あの頃の私たちの精一杯の恋と、生涯忘れ得ぬ…

　高校入学してもうすぐ一ヶ月のとある日、花灯は外を見ようと窓を見ると、小柄で可愛らしい神代という女子生徒が自然と視界に入ってしまう。 　外を見るはずだったけど、なぜか神乃を観察し…

カクヨム甲子園2024、ショートストーリー部門で奨励賞をいただきました。ありがとうございます！

　自分が不幸な人間だと思い込んでいた高校生の西野燈は、自殺をしようと決めていた日に運命の出会いをする事になる。 　その日、大切なものを教室に忘れて家に帰ってしまった燈は慌てて教室…

莫大な富を欲しいままにし、煌びやかな城館に居を構えるロンズデール家。 その居城のはずれには遥か空高く聳え立つ塔があった。 ロンズデール家の長女は、その塔の上で眠れぬ病に侵されなが…

高校2年の長津碧は天然変人文学少女。夏休みのある出来事を経て、学級書記で茶道部所属のしっかり者、野坂緑との関係性が変わっていく。 既存の百合作品の王道を踏襲しつつ、何にも分類で…

私の名前は、十河暁。 この文章が読まれているということは、私はすでに死んでいるだろう。 シノニムのごまかしをやめて確と告げるなら、これは遺書だ。 生命の意味を遺すためにあるべき文…

高二の夏休みを迎えた緑と碧。緑は図書館のベンチに座る碧を発見する。氷の音とともに紡がれるほんのり青春百合。 続きの長編小説『鴨の羽色』が下記で連載中です。 https://ka…

35歳の若さで恋人の女性と心中した香子。 姪の瑠衣は香子が亡くなる直前に、彼女から膨大な長さの手紙を受け取っていた。 「18歳になったら読んでね」 その手紙には、女性しか愛すこと…

決して知られてはならない。 誰の目にも触れないよう、この記憶を美しいまま薔薇の棺に葬ろう____。

高校三年生の梨花は受験生として、勉強に時間を費やす夏休みを送っていた。 これまで「なんとなく」の考えで生きてきた梨花にとって、進学することも「なんとなく」。 しかし、夏のある日、…

百合(GL)小説を集めた短編集です。シリアスで暗く、糖度は恐らく低めですが、愛は重い。そんな小説が好きな方へ。

友美と愛子は仲のいい友達。……のはずだった。 しかし、友美のちょっとした行動で2人の関係が今までとは違うものとなる。 友美の行動の意味は？真意はなに？ 愛子のこの気持ちは？どう…

　高校一年生の「雪枝　千雪」は、同じクラスで、同じ美術部の「春川　桜」と次第に仲良くなり、心がひかれていく。雪枝千雪が、同性の春川桜に持っている気持ちは友情なのか、恋なのか。思春…

他人を愛する気持ちが理解できない女子高生と、人間関係そのものを煩わしく思う女子高生。 そんな二人が、互いに惹かれあっていく物語。 完結済み。

母親からの電話で幼稚園からの幼馴染みが死んでいたことを聞かされた亜梨沙。 彼女は親友で恋人だった。 みーちゃんが死んでしまった。 私の知らないところで。

【週間ランキング最高69位ありがとうございます！】 高校生の時、「僕」の友人である「彼」は、何においても常に僕の一歩前を歩んでいた。 成績も、スポーツも、容姿も、そして――文才…