概要
世界が終わるまでのひと月。ここは、私たち二人だけが笑い合える場所。
「ーーだってこの夏、世界は終わるから」
それが、あの子の口癖だった。
一九九九年、世紀末の不安が世界を覆い尽くしていたその夏の片隅で、私と彼女は確かに生きていた。
「じゃあ、こうしよう。この世のどこかに、この世界の運命を握る人がいて、その人が『さよなら』って言うんだよ」
そう言った彼女は、赤く染まった満月の下でふと笑っていた。
忘れかけていたその言葉を、ずっと奥に押し込んでいた感情を、綺麗なあの子の笑顔を、目が覚めるように呼び起こしてくれたのは、私たちが聴いていた、青い森生まれのか弱いセレナーデだった。
あのとき、私たちは確かに信じていた。世界はすぐに終わるだろうと。けれど、地球は忙しなく周り続け、後ろを振り向くと二十五年もの月日が経っていた。
私は今でも追い続けている。すべてが永遠に
それが、あの子の口癖だった。
一九九九年、世紀末の不安が世界を覆い尽くしていたその夏の片隅で、私と彼女は確かに生きていた。
「じゃあ、こうしよう。この世のどこかに、この世界の運命を握る人がいて、その人が『さよなら』って言うんだよ」
そう言った彼女は、赤く染まった満月の下でふと笑っていた。
忘れかけていたその言葉を、ずっと奥に押し込んでいた感情を、綺麗なあの子の笑顔を、目が覚めるように呼び起こしてくれたのは、私たちが聴いていた、青い森生まれのか弱いセレナーデだった。
あのとき、私たちは確かに信じていた。世界はすぐに終わるだろうと。けれど、地球は忙しなく周り続け、後ろを振り向くと二十五年もの月日が経っていた。
私は今でも追い続けている。すべてが永遠に
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