一つ一つの表現、言葉、情景描写、どれをとっても硝子のように繊細で、美しい文章だと感じました。何回も何回も読み返したくなる作品です。
タイトル、言葉遣い、物語の構成、それら全てが瑞々しく、まるで一つの詩を聴いているような気持になれる作品でした。
上手い。ただただ上手い。何がって?この作品の言葉の選び方が、である。言葉のチョイスがとにかく上手い。普通の書き手ではそうは書かないだろうという切り口で、どうしてもありふれた言い回しに落ちぶれてしまいそうな場面でも鮮明に場面を描き出す。その圧倒的な表現力は、読んでいて引き込まれると共に、その見事さに惚れ惚れするばかりだ。私は普段他者の作品に傑作という評し方はしない。だが本作は間違いなく傑作の名を冠するにふさわしい作品である。万人におすすめできる一作だ。
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