この作者様の面白いところは架空の世界に実際の歴史が絡んでいるところで、この大戦が次の大戦に繋がるのかとか色々考えるところはありますが。
魔法の設定やドレスの設定も細かく考えられていてドレス好きにはたまらないです。しかも仕立ては男の子がやるところが好きです。女の子が仕立てる話はいっぱいありますが、男の子が女の子を着飾らせるのはめちゃくちゃ悶えます。
キャラクターもいいです。
クロエとソウジロウがめちゃくちゃ可愛くて悶えます。ソウジロウは貴族の次男坊で凄腕剣士でもあるのに……あり得ないほど可愛い。
ラストがちょっと切ないので、番外編で二人の話を読みたいなぁと思います。親友ほか二組のその後も読みたいです。
カクヨムでリスペクトしてる人は?
と聞かれたら、そこであげる人の中には必ず冬村さんがいる。それは物語にカラーがあるからだ。
小説を読むときに、自分の予想がつく世界、気軽に楽しめる世界、そういうタイプの話を好む人もいると思う。それはそれでいい。けれど、僕が読みたい作品はそういうものとはちょっと違って、予想がつかない、普段ちょっと考えないような世界を見せてくれるってほうだ。
冬村さんはそれを出してくれる。僕が知らないカラーを見せてくれる。それだけではなく、それは丁寧に形作られたミニアチュールのような職人の技だ。はなみやでも感じたけれど、カノ魔女で一層強くなった。
服飾という鮮やかな世界に魔法を添えた舞台。なんと魅力的な世界観か。それはマンガや映画では誰もがやりたがるかもしれないが、小説でも冬村さんの描写があれば手に取り目で見るかのように伝わってくる。
それ以外の部分もいい。キャラクターは半ば強制的に決められた男女ペアで最初は意識していないが、その二人がだんだん近づいていく。もちろんその中には競い合うライバルたちとの切磋琢磨、そして窮地を乗り越えていく展開がある。背景となる学校の経営陣たちにもひそかな伏線があり、油断できない。恋も成長も対決も事件も、どこを取っても刺激的だ。
まずは一章まで読み終えた。ここまででも十分にまとまった内容だが、その先へも引き込まれ続けられている。可憐な魔女たちのお誘いに逆らうのはちょっと難しそうだ。
あたりまえのことですが、われわれ人間は服を着ます。
理由はいろいろありますが、裸だと寒いし、恥ずかしいからです(稀に例外もいますが、だいたいにおいて彼らは警察当局に逮捕勾留されます)。
でもなぜ、われわれは服を着ていないと落ち着かない気分になったり恥ずかしくなったりしてしまうのでしょうか。
われわれは人であり、獣ではないからです。
実は火を使う動物は人間以外にも(ごく稀に)いたりするのですが、衣服を着る動物というのは人間以外にはいまだ見つかっていません。
ましてや、衣服を通して自己の嗜好や主義主張を表現することができるのは、われわれ人間以外には存在しません。
つまり、服を着るか着ないかということは、人と獣を線引きするもののひとつであると言えるでしょう。
本作『彼女が魔女に着替える時』(以下、カノ魔女)において、作者はそれを〝はじまりの魔法〟である、と定義しました。
衣服を纏うことによって、人は獣ではなく人たりえるのだ、と。
『カノ魔女』では、衣服は人と獣の線引きとしてだけでなく、実際に魔法の力を伴うもの――魔呪盛装《マギックドレス》――として描かれます。
それらは作者の確かな知識と筆致によってきらびやかに描写され、読者を引き込むでしょう。
主人公のひとりであるクロエとともに、「あんなドレスを、着てみたい」となること請け合いです。
(実際にぼくはドレスを着て街を練り歩き、警察当局に逮捕勾留されました。官憲の横暴を許すな)
レビュー投稿時点で一章三話、『魔女のドレス、魔女の戦い』まで拝読いたしましたが、これから先、主人公であるソウジロウとクロエがどのような物語を文字通り織り成していくか、楽しみで仕方がありません。