彼女が魔女に着替える時

作者 冬村蜜柑

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★★★ Excellent!!!

20世紀、皇御国出身の緋野蒼司郎は列車でアトランティス魔女連盟領へと向かっていた。
学園では魔女志望のクロエとペアとなり……。

素晴らしい筆力で、冒頭からぐいぐいこの世界に読者を引っ張り込みます。

緑色の髪と瞳のクロエ、黒髪黒目の蒼司郎。
この二人が切磋琢磨する様子、少しずつ無理なく距離を縮めていく過程、すべてが丁寧に織り上げられた絹織物のようです。

限りないセンスと揺るぎない技術力を感じさせる作者様の力量に感無量です。

★★★ Excellent!!!

「服を纏うことが人にとっての原初の魔法」という設定の世界観。
獣が人になるための最初の魔法であって、魔女が魔法を使う条件になっています。そのため、バトル物で衣服がボロボロになっていくお色気シーンに真面目な説得力を持たせる設定でもあります。

世界観は現代日本ではなく、近代アメリカ(のような国)。そこに魔法、学園生活、バトル物と恋愛感情を織り込んだ上で、ここまでキチンと物語として成り立たせているのは書き手の実力が素晴らしいとしか言いようがありません。

これからも投稿を楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

まず、世界観が好きです。
魔法使うために専門の仕立て師が作ったドレスを着る。もちろん着るのは女の子。そして魔女と呼ばれます。

そして、この物語の主人公となる仕立て師は男の子で、ドレスを着る魔女は女の子。

なにも起きないわけはありません。

魔女になるために、あるいはその仕立て師になるために学園に通う彼らの学生生活。

そんな彼らがゆるやかにあるいは軽やかに、時には厳しく、そして甘酸っぱく、変わりゆく四季と共に優しい文章で描かれています。

特に甘いシーンは必読です。ほろ苦さも味わえて二度お得。

男の子が美人なのもポイントです。

★★★ Excellent!!!

カクヨムでリスペクトしてる人は?
と聞かれたら、そこであげる人の中には必ず冬村さんがいる。それは物語にカラーがあるからだ。

小説を読むときに、自分の予想がつく世界、気軽に楽しめる世界、そういうタイプの話を好む人もいると思う。それはそれでいい。けれど、僕が読みたい作品はそういうものとはちょっと違って、予想がつかない、普段ちょっと考えないような世界を見せてくれるってほうだ。

冬村さんはそれを出してくれる。僕が知らないカラーを見せてくれる。それだけではなく、それは丁寧に形作られたミニアチュールのような職人の技だ。はなみやでも感じたけれど、カノ魔女で一層強くなった。

服飾という鮮やかな世界に魔法を添えた舞台。なんと魅力的な世界観か。それはマンガや映画では誰もがやりたがるかもしれないが、小説でも冬村さんの描写があれば手に取り目で見るかのように伝わってくる。

それ以外の部分もいい。キャラクターは半ば強制的に決められた男女ペアで最初は意識していないが、その二人がだんだん近づいていく。もちろんその中には競い合うライバルたちとの切磋琢磨、そして窮地を乗り越えていく展開がある。背景となる学校の経営陣たちにもひそかな伏線があり、油断できない。恋も成長も対決も事件も、どこを取っても刺激的だ。

まずは一章まで読み終えた。ここまででも十分にまとまった内容だが、その先へも引き込まれ続けられている。可憐な魔女たちのお誘いに逆らうのはちょっと難しそうだ。

★★★ Excellent!!!

魔女は一人じゃ魔法を使えない。
仕立て師は自分じゃ魔法を使えない。

二人で一人の魔法使い。
そんなお話です。

学園ものらしく青春しながら、魔女のクロエと仕立て師の蒼司郎が成長していく。
笑いあり、涙あり、女装ありの素敵なストーリーは、世界観を丁寧に彩っていく文章と共に進んでいきます。

故郷から離れて世界の裏側にまで来た蒼司郎が望んだ「魔法」は何なのか。

続きが、待ち遠しい作品です!

★★★ Excellent!!!

一番に感想として思ったのは、書き手側としてとても高い完成度の作品だと思いました。
無理無駄のない設定、独特でありながらもするっと頭の中に入る。キャラクターもちゃんと立っていて、文章の全体もバランスが整っている。
バトル要素はあまりない、必要ない。だけれども魔術を使う華麗さの表現の仕方や、等身大の少年(主人公)を映しかたのような個性。ヒロインの可愛い面白さ。もっと多くの人に読まれればと思います。

★★★ Excellent!!!

 少しだけ昔の、我々の世界と地続きに連なっているかのような不思議な世界観で紡がれる恋愛ファンタジー。

 魔女と仕立て師は一心同体。
 仕立て師が仕上げたドレスを纏うことで、少女たちは魔女となる。

 そんな仕立て師と魔女を養成するとある学園で、新たな門出に立った少年少女たち。

 天真爛漫、物静か、明朗快活、内気、勝ち気、大胆……。
 多種多様な性格をした彼/彼女たちは、これからの学園生活でどのように関わり、そしてどのような未来に立つのか。
 その途中に困難は、衝突は、迷いは、そして恋心は……あるのか。

 圧倒的な知識量によって紡がれる物語は、否応なしに我々を同じ世界にいざなってくれるほどの説得力を持ち合わせています。

 優しい文体でしっかりと地に足をつけて描かれる世界観は、どんな人でものめり込むこと間違いなし。

 少年少女たちがどのような学園生活を送るのか……今後も目が離せません。
 繊細かつ骨太なファンタジー、おすすめです。皆様も、ぜひ。

★★★ Excellent!!!

 あたりまえのことですが、われわれ人間は服を着ます。
 理由はいろいろありますが、裸だと寒いし、恥ずかしいからです(稀に例外もいますが、だいたいにおいて彼らは警察当局に逮捕勾留されます)。

 でもなぜ、われわれは服を着ていないと落ち着かない気分になったり恥ずかしくなったりしてしまうのでしょうか。
 われわれは人であり、獣ではないからです。
 実は火を使う動物は人間以外にも(ごく稀に)いたりするのですが、衣服を着る動物というのは人間以外にはいまだ見つかっていません。
 ましてや、衣服を通して自己の嗜好や主義主張を表現することができるのは、われわれ人間以外には存在しません。
 つまり、服を着るか着ないかということは、人と獣を線引きするもののひとつであると言えるでしょう。

 本作『彼女が魔女に着替える時』(以下、カノ魔女)において、作者はそれを〝はじまりの魔法〟である、と定義しました。
 衣服を纏うことによって、人は獣ではなく人たりえるのだ、と。

 『カノ魔女』では、衣服は人と獣の線引きとしてだけでなく、実際に魔法の力を伴うもの――魔呪盛装《マギックドレス》――として描かれます。
 それらは作者の確かな知識と筆致によってきらびやかに描写され、読者を引き込むでしょう。
 主人公のひとりであるクロエとともに、「あんなドレスを、着てみたい」となること請け合いです。
(実際にぼくはドレスを着て街を練り歩き、警察当局に逮捕勾留されました。官憲の横暴を許すな)

 レビュー投稿時点で一章三話、『魔女のドレス、魔女の戦い』まで拝読いたしましたが、これから先、主人公であるソウジロウとクロエがどのような物語を文字通り織り成していくか、楽しみで仕方がありません。