• 異世界ファンタジー

『彼方へと送る一筋の光』23回更新しました(ネタバレあり)

『彼方へと送る一筋の光』23回を更新しました。
今回はアデライデのターンです。
シーンとしては劇的に事態が動いてはおらず、幕間のような気配を漂わせながら、実はとても大事な話をしています。
今回アデライデが仄めかしている「何か」は近々判明するので、後回しにして。
アデライデが告げた「ブレイリーが自分の価値を低く見積もりすぎだ」という示唆について、少しこの場で懺悔めいたことを記させていただきます。

これなんですが。
これは私が、この話を書く上で「こうしよう」と思って決めたことではなく、長い休載の後プロットを再構築した際に気づいたことでした。
というか、それまで気づいてなかったんです。

『それでも朝日は昇る』という物語は、当然カイルとアイラ、カティスとマリーシアの物語であるからして、本編執筆時、彼ら以外の登場人物のことはあまり深く考えていませんでした。
ブレイリーがあの深手から生還することは、本編執筆時から決めていたことでしたが、その後の人生についてはあまり深く考えていませんでした。
本人が薄ら考えていたように、粉粧楼でウェイターしてるかな、くらい。
それが『彼方から届く一筋の光』を書くことになり、禁書とそれを守るザクセングルスの設定を決めたわけなんですが。
それから数年。私はようやく気づくことになりました。

私は『彼方から届く一筋の光』で、本当に安易にザクセングルスの設定を作ってしまった。

30万都市を恒常的に防衛し、同時に治安維持をする。
こう何度も書いていますが、つまり傭兵団は軍隊だけではなく、警察の職務を行っているということです。
それを街の直属ではなく、契約を結んだ外部部隊に預ける。

ちょっと待て、これ危なくないか?
レーゲンスベルグ傭兵団が引き抜かれたら、街はどうなるんだ?
施政人会議が同等の軍隊を編成するには時間がかかる。
その間に攻められたら、街は落ちるぞ。

このことに気づいた瞬間「うわぁ」と思った。
施政人会議は貧民出のブレイリーと傭兵団のことを侮り、下に見ていたと思っていた。
最初はもしかしたらそうだったかもしれない。
けれども1014年の段階では、絶対そうは思っていない。
傭兵団、そしてそれを率いるブレイリーは、絶対繋ぎとめておかなければならない街の生命線だと思っているはずだ、と。

かくして私の中の「施政人会議と傭兵団の関係性」の認識が改められることとなり、さらに思った。
街の人たちにとって、傭兵団とブレイリーって、どんな存在なんだろうと。

傭兵団、総数6000人。
この数は先に記したとおり、30万都市に対する軍隊+警察の機能を果たすために必要な人数として設定しました。
有事の際のMAX人数としてこの数は必要だ、と見積もった計算です。
(つまり平時にはこの人数は必要ないので、都市防衛団は一部隊1000人です。じゃあ残りは普段何してるの、という話は次回作で詳しく)
その6000人に伴侶・子ども・親を足したら、傭兵団の関係者は軽く万を超える計算です。
その大半が、ブレイリーを貧窮から救い出してくれた恩人だと感じている。
少なく見積もっても、30万のうちの1万5000人に敬意と親愛を捧げられている人。

この人を、他の街の人がなおざりにできるわけがない。
しかもその人の働きが、自分たちの日常生活の安全に直結してると判っていて。

気づいた時に、頭を抱えました。
私が認識していなかっただけで、ブレイリーは本当にレーゲンスベルグにとって重要な存在になっていたんだなあ、と。

このことに気づいた時に思いました。
ブレイリーとロスマリンの結婚は、身分違いの夢物語ではない、と。

このことを踏まえた上で、次回いきます「お嬢さんを僕にください」
こんなブレイリーに、バルカロールはどんな回答をするのか。
バルカロールにとって、娘が恋したブレイリー・ザクセングルスという男は、どんな存在なのか。

次回、物語は皆さんが予測していないだろう方向へと飛んでいきます。

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