『彼方へと送る一筋の光』28回です。
今回は本当に久しぶりの、アイラシェールとカイルワーンの登場です。
執筆時、あまりにも久しぶりなので緊張しました。
本作の冒頭、幼いロスマリンに対するアイラとカイルの言動の真意。
二人が歴史上の人物としてのロスマリンをどう思っていたのか、何を知っていたのか、ということへの回答です。
本編にも出てきたエルフルトの日記。
今回の更新でカイルワーンは「改竄されている」と言っていましたが、皆さんお察しの通り、本当のところはそうではありません。
エルフルトはこの日記を後世まで残ること、そうして未来のカイルワーンが読むことを知っています。
だからエルフルトは未来に残っていなかった真実は、最初から書かないようにしていたんです。
ブレイリーの名前も消されたのではなく、エルフルトが最初から書きませんでした。カイルワーンが「知らない」と言いましたから。
なのですが、ロスマリンに出逢った後のカイルワーンが「これもしかしてブレイリーなんじゃ……」と察せられるよう、意図的にヒントをばらまいたわけです。
それはどうしてかといえば、端的にエルフルトがカイルワーンに、ブレイリーのことを自慢したかったんだろうなあ、と。
気づいてくれればいい、そうしてカイルワーンに二人や自分たちの未来について安心してくれればいい。そういう願いがこもっていたのだと思います。
さて本作も残すところ、あと1回です。
次回が終章。
ブレイリーとロスマリン、そしてザクセングルスが辿り着いたところをご覧いただきたいと思います。