『彼方へと送る一筋の光』26回です。
本更新で、本作はクライマックスを迎えました。
14年の歳月を経て、カティスと再会したブレイリー。
ここまでの長い物語、特に第4部で彼について語ってきた沢山のことはすべて、今回の彼が下した選択へとつながるものでした。
この物語は七年間もの休載を経て再開することになったのですが、その大きなきっかけは「人はどうあれ、自らの喪失に決着をつけなければならない」という思いに駆られたこと、そして「この物語を終えなければ、ブレイリーのそれが叶わない」と感じたことでした。
『それでも朝日は昇る』はアイラシェールとカイルワーンの物語です。
本作でカイルも言っていますが、あの物語は二人だけで完結してしまっている。
二人は自らの望みのために環を閉じ繰り返しを選ぶ。
二人が二人である以上、これは決して変わらない。
そして己の恋に殉じた二人は本望であったとは思います。
でも、遺された人たちの人生は、まだ続いていくんです。
カティスがその後の人生を、マリーシアとどう生きていったのか。
ブレイリーやセプタードたちが、どんな思いを抱えてレーゲンスベルグへ帰ったのか。
それは想像するしかない領域の物語だと、本編執筆時には思っていました。
でもその後の人生が、全て後悔や悲歎に包まれていたのか。
カティスにとってのカイル、マリーシアにとってのアイラ、そしてロスマリンやブレイリーたちにとっての二人の存在は、その後の彼らにとってどんなものであったのか。
喪われた人を思うということが、どういうことなのか。
私自身も人生経験が足りません。
うまく描けたかと思うかと問われれば、理想に届いたかは判らない。
それでも全霊で、懸命に書きました。
皆さんに何かが伝わればいい。
心からそう思っています。
次回からは実質エンディングです。
この物語は、まだ一つ大事な語るべきことを残しています。
お付き合いいただければ幸いです。