『彼方へと送る一筋の光』05を更新しました。
本作は自サイトからの転載ですが、今回の更新箇所はある改稿が入っています。
それはカイルワーンの、失踪理由です。
『それでも朝日は昇る』本編と『彼方へ送る一筋の光』の初原稿では、それは明言されていませんでした。
暗示や仄めかしを綴ってきましたが、作者である私はこれまで明言を避けてきました。
しかしこれまで寄せていただいた感想から、それが非常に判りづらいこと、読者の皆さんを悩ませてしまったことを痛感しました。
これまで「皆さんが出した答えがどれも正解」と言い続けてきましたし、その思いに変わりはありません。
しかし本編で暗示した「表の理由」はともかく、本番外でロスマリンが示唆する「カティスには気づいてほしくない裏の理由」が、本当に皆さんを悩ませてしまったことに、ずっと迷ってきました。
今回の改稿で、それをロスマリンの口からはっきりと語ってもらいました。
これは本編の当初からずっと考えていたことです。
私はカティスとカイルワーンが、長く寄り添い二人で国を治めていけるとは、最初から考えていませんでした。
王であるカティスと、預言者であるカイルワーンは、長く寄り添うことはできない。
それは絶対動かない。
でもそれを本編で記すことは、カイルの口からカティスに聞かせることは、あまりにも酷でした。
だから本編でも書かなかったのです。
気づいた人だけ、違和感を抱いた人だけ、真相に思いを馳せてもらえばいい。そう思っていた事柄でした。
(ちなみに本編のラストだけで「本当にカイルの失踪理由はこれだけですか」と疑問を抱いて問い合わせをくださった方が、今まで何人かいらっしゃいます。慧眼に恐れ入りました)
どうして今回の改稿で、これをはっきりと書くことにしたのか。
理由は時間がたって、私の考えが変わったということもあります。
実はこの物語、本サイトで執筆に11年かかっています。
その11年の間に、何がどうして、どう変わったのか。その答えは、この物語のラスト付近でお察しいただけるのではないかと思います。
お察しいただければありがたいと、思っています。
次回更新で第一部が終了。
またお付き合いいただければ幸いです。