『彼方から届く一筋の光』第5回目の更新(転載)を行いました。
今回をもって、この物語の登場人物全てが出揃いました。
この物語は、オフェリアの救済の物語である、と謳っています。
オフェリアを、一体何から救わなければならないのか。
それが前回と、今回の更新で見えてきたのではないかと思います。
『それでも朝日は昇る』本編を書いていた時、私はオフェリアの将来をグラウスが望んだとおりのものになるように考えていました。
大切な人たちを奪ったガルテンツァウバーへの復讐として、皇帝や皇太子を呑み込み帝位と国を奪う。そんな未来を漠然と考え、プロットを立てようとしたんです。
ですが、どうしてもそれは形になりませんでした。
どうしても、物語としてのオチがつかなかったんです。
その理由は、今となっては明白。
オフェリアが、あまりにも不憫だ。
そんな未来のどこに、彼女の幸せがあるのだろう。
そんな希望のかけらもない物語、書けるはずがなかった。
けれども、オフェリアを救済する道を、ガルテンツァウバーでもそのままの未来のアルバでも、私はどうしても見つけることができなかった。
それは前回記したように、オフェリアはあのままでは「自分」という軛から、逃れることができないからです。
どうにも形にならないプロットを前に、ついに私自身がキレました。
もういい。
全部壊してしまえ、と。
オフェリアが不憫でしょうがないなら、全部の枠をぶっ壊して、徹底的に救済する話にしてしまえばいいじゃないか!
そうぶっちぎれて、はっと気づきました。
それを実現できる道具が、この世界には二つあるじゃない。
その一つが『時の鏡』です。
前回の更新で、どうして『時の鏡』を使ったのか、その理由をオフェリア本人に語ってもらいました。
時を越えるという手段を用いないと、オフェリアはガルテンツァウバーおよび自分が持つしがらみから逃げられませんでした。
でも理由はそれだけではなくて、もう一つあります。
ヒントは、どうして作者は、オフェリアを彼女自身が存在している、言い換えれば彼女が二人になってしまう1215年に送ったのか。
どうして街の多くの人が、オフェリアの顔を知っている状況をわざわざ作ったのか。
で、もう一つの道具ですが。
それがこれからの物語の鍵になりまして、それを握っているのがレインです。
出てきました。
やっと出てきました。
登場した瞬間からもう胡散臭いです。
全力で胡散臭いです。
皆さんにも「こいつ何者なんだ?」と思いながら、奴の言動と行動の裏を考えながら読んでいただければありがたいです。
そしてオフェリアがそのもう一つの道具に辿り着いた時、この物語の謎は全て解けます。
来週もまたお付き合いいただければ幸いです。