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青白く透明な沼地の底には可能性の魔物がいる。
魔物は虎視眈々と可能性を狙う。
檻に囲われ、二度と出られない鋼鉄の檻の王は魚の形で、頭上の獲物を狙い続けている。
夢と可能性は彼にとっての大好物だ。もちろん、喰って潰して飲み込んでしまう、その時生まれる絶叫と絶望が美味なのだ。
長い舌で不用心な探究者を巻き取って引き摺り込む。
冷たい水鉄砲をぶつけて水面に叩き落とす。
鉤爪を使って翼を切り落とすのは容易いこと。水面はいつも静かで、水面の檻の王はいつも頭上を見上げている。
檻の王には部下の巨大魚たちがいる。
巨大魚たちは赤い尾ヒレに真っ赤な鱗を太陽に晒して、王の周りを悠然と泳ぐ。
王に似つかわしい孤独。
どこにも行けない孤独の王。
黒鉄の檻に出口はない。巨大魚たちはなにを思って王を守っているのか。
今日も水面の檻の王は、可能性の翼を待っている。
翼を折るため、その可能性を傷つけ、はたき落とし、束縛と絶望と、諦めという檻に閉じ込めるために。