• に登録
  • SF
  • エッセイ・ノンフィクション

内なる遠い宇宙のその、最果ては

崩れた泡。
世界の果て。
気泡と水滴の泡立つはざま。

物体と気と、時と心が混じり合い、互いが互いを打ち消しあう一瞬のすき間。
世界の終わりと世界の始まりが同時に始まる、この世界の最果ての園。

いろいろな世界観。様々な人々。
感情や思い、気持ち、念、怨念のようなもの、

思い込み、妬み、願望、祈り、怒りとか絶望とか。
そういった、言葉で表せる想いが、ここでは形作られ核と泡を作る。
弾けては消え、消えては生じ、生じた水泡はまたはじけ、隣り合った世界とつながりまた弾けて、消える。


あの翼の少女も、この世界で生まれた。
マスクをかぶった不屈の少年もこの世界で生まれた。

空を飛ぶあの少年も、地を這う化け物も、記憶の中に眠る黒と白の少女も、少女を眠りから冷ます旅に出たあの少年も、スーさんも、みんなこの世界で生まれた。

縦に流れる流砂の世界。
横に広がる地平線の彼方。宝石のような水の粒。ガラス細工のような卵。
炭鉱夫の少年。
錫を拾う老人。
銀を追う少女。
旅する少女。詩を描き時空を超える人々。

絵を描く人。
宝を探す兄妹。
城の町。森に囲まれた小さな学園。
荒野に飲まれた廃墟。壁に覆われた絶望の国。みんな、この世界で生まれた。

崩れていく記憶。
もろく儚い、夢。
星の瞬きに似た、一瞬の思い。
ひとしずくの絵。

また生まれ、また消える。
この世界に、あの私は何を見るのだろうか。

私は、何を見るのだろうか。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する