ツル・ヒゲ雄

自分の目の前を通り過ぎていった、かつて熱中していたものや、昔親しかった友人を思い出してセンチメンタルな気持ちになり、暖かな読後感に包まれました。

登場人物がだいたいライトに病んでいる感じが、独特の魅力になっています。 心に抱えたものを秘め、援助交際という行為を以て現実をサバイブするスタンスは、軽やかなハードボイルドだと感じ…続きを読む

痛み、感触、匂いなど、五感を刺激する地獄が展開されます。

没入感を生み出す筆力に圧倒されました。

美しく心地よい文体に引き込まれ、「読み進めるのがもったいない……」と感じて、時間をかけてじっくりと読みました。 自分が生きる日常のなかにも、『二つの海』の登場人物がどこかで生きて…続きを読む

日常生活の中に滲み出る優しさが心地よかったです。

良質な洋画のようで、思わず引き込まれます。

地の文にも会話にも力があり、ぐいぐい引っ張られます。

気づいたときには、この不思議な世界にどっぷり没入していることでしょう。

割り切れないことや、やり場のない気持ちが思わず漏れてしまうときがあってもいい。

そう言ってもらえるような、優しい小説だと感じました。

もしも叶うならば、先が読みたい。ただそれだけです。

日常に潜む違和感や閉塞感を、綺麗に切り取ったような純文学です。

それでいて不思議な爽快感があり、読後は自分の尻を見事に蹴りあげられたような気分になりました。

気がついたら引き込まれていて、一気に最後まで読んでしまう、そういう作品です。 登場人物の行動原理、そして展開される犯罪の双方にリアリティがあり、物語にたしかな説得力が宿っています…続きを読む