誰が何をもって、彼女らは異常であると言い切ることができるのか?

まず最初に、ドライブ感があってリズミカルな小気味いい文体に引き込まれました。

変わった感性、あるいはそういった傾向をもつ人々による、コメディタッチの物語……にしては違和感を覚えつつ読み進めました。

そして、その違和感の正体がわかる、中盤からの展開で完全にやられました。

少なからず登場人物は、それぞれ歪んだところがあるのかもしれません。

しかし程度の差こそあれど、誰しもがそういった歪みを抱えて生きているのではないでしょうか。

彼女らは歪だと思いつつも、どこかで「わからなくもないなあ」と共感を覚え、できることならば幸せになってほしいと、祈るような気持ちになりました。

読んだ人の心を動かす、人間らしい暖かさに溢れた、素晴らしい小説だと思います。

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