https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093085712221434そんなわけで、第四十二話です。
やっと戦いが決着しました。
すかっとした結果ではありませんが、実際の戦いはそんなもんでしょう。
ちなみに、書き始めた時のタイトルは「痛み分け」でした。
さて、呪符は、特に南方の呪術師がよく使用し、高度に発展しています。
魔法先進国と言われる帝国では、それほど多用されません。
理由としては、呪符の素材が極めて効果であること、作成に時間がかかること、封じられる魔力に限界があって効果がいまいちなこと――です。
呪符の素材となる用紙は、全量を南方からの輸入に頼っています。
原料が何かは秘匿されていますが、噂では生きた人間から剥いだ生皮を、特殊な方法で加工したものと言われています。
そのせいか知りませんが、輸入価格自体が効果で、帝国内で流通する段階でさらに値上がりします。
おまけに、軍が買い上げて支給する例は稀で、魔導士は私費で購入しなければなりません。
一枚の呪符を作るには、三日くらいかかります。一度に大量の魔力を封じることができず、少量ずつ蓄積させる必要があるからです。
そして、一枚の呪符に封じられる魔力量には限界があり、中程度の威力を発揮するのがせいぜいです。
このため、実際に呪符を所持している魔導士は稀で、それも緊急防御用に「対魔法防御障壁」「対物理防御魔法」の二種類を用意することが多いようです。
呪符はお札なので、何かに貼ることができます。
時限的に発動させたり、特定の刺激をきっかけに起動させることが可能なので、攻撃魔法を封じた呪符は、ブービートラップとしても使用できます。
マグス大佐の爆裂魔法のような大魔法を、呪符に封じられればいいのですが、そんな大魔力は呪符が受け付けないのが残念です。
ただ、これは呪符を作っている呪術師が、中級品しか輸出しないためだと言われていて、南方の高位呪術師は大魔法を封じた呪符を持っていると信じられています。
ちなみにフランツが使った呪符は木札でしたが、これは投げやすくするため、薄い木の板に呪符を張ったものです。
さて、次回はどうなるんでしょうね? エイナは錯乱するのか、冷静なのか、闇落ちするのか……気になるところです。
そして、長かったこの章も終わりが近づいています。
どうかお楽しみに!