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【魔導士物語】第三十話「協力要請」を掲載しました

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そんなわけで、第三十話です。

里帰りによる影響は、肉体と精神の両面に表れます。
肉体面では強い倦怠感と疲労、頭痛、吐き気、悪寒、関節痛等々で、風邪の症状を重くしたような感じです。
精神面のダメージはそれよりも深刻で、何かをしようという気力や意欲を、根こそぎ奪われてしまいます。
思考がことごとくマイナス志向になるので、いわゆる鬱症状に陥ります。
下手をすると自殺をしかねないので、オオカミの女衆が片時もユニから離れなかったのは、非常にグッジョブでした。

さて、後半でフランツ中尉が登場します。
彼の来歴については、本文では紹介されないと思うので、ここで簡単に解説しておきます。
マグス大佐の元副官と似たような話ですが、そういう事例は多かったのでしょう。

すでに明らかにされているように、彼はあのマグス大佐の元部下で、彼女に鍛えられた教え子の一人です。
大佐の部隊を離れて数年後には、大尉にまで昇進して中隊長を務め、近々大隊長に抜擢されるだろうと、周囲から期待されていました。
ところが、彼の直接の上司、大隊長というのが貴族のボンボンで、どうしようもなく無能で性格はクソでした。

それでも、大隊は各中隊長が優秀だったので、特に問題なく(というより、かなりの武功を挙げていた)運営されていました。
しかし、ある時この腐れ大隊長は、フランツの部下である小隊長を、慰問で訪ねてきた恋人を見染めます。
大隊長は彼女を騙して拘束し、無理やり犯してしまいます。

ことが終わって、彼女は他言しないよう脅された上で解放されますが、自分のうかつさを恥じ、自殺してしまいます。
残された遺書で真相を知った小隊長は、大隊長に復讐しようとしますが、これをフランツに察知されてしまいます。
上官殺しは逃亡罪と並ぶ重罪で、まず間違いなく死刑になります。

フランツは若い少尉を説得し、その恨みを代わりに晴らすことを約束しました。
そして彼は、その誓いを冷徹に実行しました。
さすがに殺しはしませんでしたが、半殺しにはしました。
大隊長が行った卑劣な行為を自白させ、それを署名入りの文書として残し、そのうえで二度と女を抱けない身体にしました。

もちろん、この私刑はすぐに知れ渡り、フランツは軍事裁判にかけられます。
大隊長の供述書と自殺した女性の遺書という物証があり、家名に傷がつくことを恐れた大隊長の実家が、少尉に対して示談を申し入れたこと。
さらには軍の英雄であるマグス大佐が、元部下のために奔走したこともあって、フランツはどうにか赦免されます。

しかし、無傷というわけにはいかず、大尉から一階級の降格処分を受け、さらに東部方面軍、しかも情報部への異動が命じられ、実質的に出世の道を絶たれてしまいました。
この事件からもう三年以上が経過していますが、部下思いのマグス大佐が、いまだに彼の現場復帰を求めて運動していることは、フランツはまったく知りません。

そんなわけで、フランツたちに迫る敵の正体とは何者か? どうかお楽しみに!

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