https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093082864843525そんなわけで、第二十七話です。
情報部がエイナに提供した地図は、正式のものではなく、手書きの大雑把なものです。
帝国の移動経路をどうやって推測しているかと言えば、情報の積み重ねです。
情報部員が直接大森林に入って調査するのではなく、猟師、炭焼き職人、山菜・薬草採取者など、山に詳しい人々からの聞き取りで、彼らが発見した不審な野営跡や踏みならした通過跡から分析しています。
帝国の諜報部員も、野営跡などは見つからないように、穴を掘って埋めているのですが、毎日のように山に入っている人々の目はごまかせないのです。
帝国情報部が密入出国する場合、足がかりになるのは人口の多い親郷です。
人が少なく、村人以外に立ち寄る人間が少ない支郷(小規模開拓村)だと、よそ者はすぐに見つかり、村の噂になります。
親郷だと、回り込んで大森林とは反対側の入口から入れば、商人と偽って簡単に入り込めます。
(親郷でも入口には見張りの者がいて、名前と職業、目的を確認されます)
実際の侵入経路に選ばれるのは、辺境中部の親郷が多く、北部と南部は割と少ないです。
北部は蒼城市に近い最短ルートに当たるのですが、その分警戒されているので、避けることが多いのです。
今回に関しても、王国側の警戒度が上がっていると予想されるので、情報部では辺境中部の親郷が一番怪しいと考えています。
読者の方は、とある親郷に近い森に住んでいる、変わり者の二級召喚士のことを思い出したかもしれませんねw
後半は帝国情報部(東部課)のお話です。
初登場となるフランツ中尉は、三十代後半の肉体派中年です。
最後の方で明かされていますが、実はあの方の教え子なので、その実力が窺えるというものです。
何となく、役者が揃ってくると面白くなりそうな予感がします。
そんなわけで、次回からの展開をどうかお楽しみに!