https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093082325500560そんなわけで、第二十四話です。
蒼城市を含む四古都は、いずれも大城壁に囲まれた城塞都市です。
ほぼ円形の街の中心には城があり、その周囲は官庁街(市役所や図書館もこの辺にあります)になっています。
その次の街区が高級住宅地で、さらに外側に一般市民の街区が広がっています。
下町と称されるちょっと怪しい地域(「ヴァンの家」もこの辺)や歓楽街などは、一番外周の城壁近くに固まっています。
高級住宅街は、もともと貴族の邸宅で独占されていました。
それが数百年の年月が経過し、変化していきます。
地主的な性格を持つ貴族は、貿易と貨幣経済の発展によって次第に力を失い、代わりに商人層が勃興してきます。
そのため、現在は高級住宅街の主人は、ほとんどが大商人となっています。
その例外の一つ、メイナード侯爵家は先代蒼龍帝、フロイアの実家です。
フロイアが健在だったころ、侯爵家の当主は彼女の父でしたが、実験は兄が握っていました。
ところがこの兄は無能で、帝国につけこまれて帝国軍を引き入れてしまいます。
結果的にフロイアの命を受けた、アスカ率いる第四軍が帝国軍を殲滅し、メイナード家はフロイアの兄を廃嫡とし、病弱ですが優秀な弟を当主にして立て直しを図ります。
ただ、反乱の罪は重く、父祖代々の支配地であったボルゾ川沿岸の地を追われ、代替えの領地も大幅に減らされました。
跡を継いだフロイアの弟は、新領地で殖産興業に努めると同時に、農業改革も進めて、疲弊した家政をどうにか立て直しました。
蒼城市の屋敷も売却せずに維持し、自領の産物を輸出商人たちに積極的に売り込みました。
侯爵家の復興には、先代蒼龍帝の圧倒的な人気に支えられた、市民の支持が大きな力となりました。
さて、だらだらと続けてきたエイナたちの捜索活動ですが、ここにきて急展開を迎えます。
次回タイトルは「急転直下」。果たして事件はどんな結末を迎えるのでしょうか? どうかお楽しみに!