https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093081624812092そんなわけで、第二十話です。
最初に断っておきますが、今回は何も事件が起きないので、あんまり面白くないですw
エイナたちの捜索は行き詰まってしまい、不毛な議論が続きます。
エイナはあくまで「ドブの臭い」にこだわっていますが、部下たちはもう懐疑的になっています。
ドブに関係する場所に、蒼城市内(の工作本部)に侵入するための、何らかの手段がある――その見立て自体が怪しいと思っているのですね。
エイナは下水道の存在を、部下たちが教えなかったことにむくれてしまい(理不尽)、意地になって従来の捜査方針を推し進めます。
さて、前回断念したゴブリンの情報です。
ゴブリンは亜人種(デミヒューマン)で、オスの身長は百三十~百四十センチ、メスは百二十セント前後です。
人間でいえば、十歳未満の子どものような体格をしています。
彼らの寿命は三十五歳前後で、短い分早熟です。生まれて二年ほどで、オスは狩りや戦闘に加わり、メスは子が産めるようになります。
妊娠期間は四か月ほど、しかも一度に三~六人の子を産みますから、食料さえ確保できれば、爆発的に増えます。
ゴブリンの武器は石器で、石のナイフ、石斧、石棒などの近接武器と、弓矢(短弓)を併用しています。
雑食性ですが腐肉を好み、主な食事はネズミ、ウサギなどの小動物や昆虫類です。
人間を恐れる一方で、激しい憎しみを抱いており、相手が一人だったり、女や子どもだったりすると、集団で襲いかかります。
嗜虐性が異常に高く、人間を生け捕りにすると、男の場合は筆舌に尽くしがたい拷問を行い、女であれば大人子どもの別なく、数日にわたって強姦してから殺します。
もちろん、そのあとは彼らの食事となります。
ゴブリンは家族単位で巣穴を掘って暮らします。
ひと家族が百人以上にまで膨れ上がるのも珍しくありません。
エイナたちが遭遇した巣穴は、まだそこまで増殖していませんでした。
なお、巣穴で発見された人骨は、マルコ港の製糸工場で働いていた母子で、辺境の村へ里帰りする途中で襲われたことが、のちの調査で明らかになりました。
母親の出身が辺境最北の開拓村で、街道よりも近道である、川沿いの道を選んだのが仇となったようです。
恐らく、子どもがはぐれて迷子になり、それを探して道から逸れ、ゴブリンに襲われたのだろうと結論付けられました。
さて、次回は下水道の探索です。何か手掛かりを掴めるのか、どうかお楽しみに!