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【魔導士物語】第十二話「新任務」を更新しました

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そんなわけで、第十二話です。

「持ち上げたら落とす」これはもう、鉄則ですねw

部隊感状は、割と頻繁に出されますが、八割が連隊長名の発行です。
その上の師団長が出すのは、かなり大きな功績となります。
アスカは第四軍を統括する軍司令官で、その司令官名で出される感状は、五年に一回レベルで重みが違います。
定員不足の新設小隊、しかも小隊長は一か月前に転属してきたばかりの十九歳の少尉ですから、賞賛と同時に反発が生まれるのは必至です。

エイナに対する新しい命令は、そんな事情があるのだろう……と、中隊長(多分、大隊長も)は思っているようです。
ただ、エイナはもっと何か裏があるのではないかと疑っています。
情報部が手を引いたという事実が、どうにも引っかかるからです。

軍隊というところは非常に縄張り意識が強く、参謀本部直轄の情報部と地方軍(この場合は第四軍)の仲は、よくありません。
軍には都市の治安を守る警衛隊(警察組織)があるのですが、彼らと情報部の仲は最悪で、さらに同じ軍でありながら、警衛隊と一般の軍もぎくしゃくしています。
情報部がこの件から手を引いたのは不自然で、エイナでなくても裏に何かあると疑いたくなります。

この章で出てくる行商人のイメージは、「富山の薬売り」を念頭に置いています。
彼らは各家庭に入り込むため、子どもにおもちゃ、主婦には暦などを配っていました。
ちなみに、富山の薬売りは江戸時代に広範囲に広がり、地元の市場を食い荒らされた各藩は、しばしば禁止令を出しています。

辺境の行商人は、薬は扱いません。この時代(特に田舎では)は生薬が全盛で、医者のいない村では薬師、またはそれに準じた知識を持つ村人が供給を担っています。
生薬に関する正規の教育を受けている召喚士もその一人で、現在のユニも、日常的には生薬の販売が収入の過半を占めています。
ですから、行商人が扱うのは日用雑貨、そして古着が主となります。

もちろん、こうした商品は親郷に行けば買えます。
ただ、それぞれの開拓村(支郷)から親郷への往復は、二、三日かかりますので、それを考えると多少割高でも行商人から買った方がよいのです。
彼らは農村の若い女性向けに、安価な宝飾品も扱います。
小中学生の女の子のいる家庭なら「サン宝石」を知っていると思いますが、そんな役割ですねw

そんなわけで、エイナは親郷クリル村を目指すことになりましたが、彼女は何か企んでいるようです。
どうかお楽しみに!

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