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【魔導士物語】第十一話「栄誉」を更新しました

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そんなわけで、第十一話です。

エイナの凍結魔法をまともに受けた帝国兵たちは、死んではいませんが、凍傷と低体温症を起こしています。
すぐに身体を温めないと、本当に死んでしまいます。
河原にはたくさんの流木が打ち上げられているので、薪集めは楽ですが、前日の雨で湿っています。
普通なら着火させるだけで一苦労ですが、その点、エイナの使った炎魔法は非常に便利でした。

帝国兵は背中を焚き火に向け、横向きに寝かされています。
これは、後ろ手に縛られている手指を優先して温めるためです。

本文では書かれていませんが、本部に連行された捕虜たちは、軍医の手当てを受けます。
しかし、彼らの全員が、手指の大半を壊死によって失うことになりました。
足の指の方は、軍靴を履いていたので比較的無事でしたが、何名かは小指や薬指を切除するはめとなりました。

エイナは初歩的な治癒魔法が使えますが、表層部分の血止めや消毒、鎮痛程度の効果しか発揮できません。
魔法先進国の帝国では、専門の治癒魔導士が存在します。
高度な治癒魔法を扱うと同時に、医師と同等の医学知識を持っている専門職で、数こそ少ないですが戦場で非常に頼りにされています。

後半で出てくる「感状」ですが、エイナたちが受けたのは「部隊感状」と呼ばれるものです。
もちろん、「個人感状」も存在しますが、非常に稀です。
軍隊は信賞必罰で、失敗に対する責任追及が厳しい一方、誉める方は兵がやる気を出すので、積極的に表彰を行います。

「え、こういう場合は勲章じゃないの?」

と思われるかもしれませんが、勲章は政府が授与するものなので、一軍団に過ぎない第四軍が勝手に出せるものではありません。
その点、感状は高級指揮官――第四軍で言えば、アスカ大将の名のもとに発行できます。
単なる羊皮紙の賞状一枚で、金一封もありませんが、これを受けた部隊にとっては非情な名誉で、部隊の部屋の一番目立つところに、額に入れて飾られます。

そんなわけで、中隊長の表情が不安を掻き立てる終わり方でした。
一体、中隊長はエイナにどんな話をするのでしょうか?
どうかお楽しみに!

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