• 異世界ファンタジー
  • 詩・童話・その他

【幻獣召喚士2】第十五話「黒龍組」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/1177354054902247720/episodes/16816452220587052759

そんなわけで第十五話です。

【※以下はネタバレになりますので、本文をお楽しみ後にお読みください】



代貸し(だいかし=だいがしとも言います)は暴力団組織のナンバー2です。現在は若頭(わかがしら)と言う方が多いみたいですね。

マリウスが懐から出した薬は、抗生物質の代表格――ペニシリンです。
帝国は化学、特に医薬品の先進国で、この時代にいち早くペニシリンを発見しました。
ただ、悲しいかな文明レベルが中~近世の状態なので、これを大量生産する技術や工業力がありませんでした。

そのため、アオカビをシャーレの寒天培地で培養し、それをろ過、ろ液を希釈するという製造行程を手作業で行っていました。
しかも民間にこれを委託すると、たちまち他国に秘密が洩れてしまいます(スパイがいっぱい入り込んでいる)ので、国家が厳重に管理する研究所で細々と生産が続けられていました。
当然、生産量は少なく、恐ろしく高価な薬品です。

本文でも触れていますが、こうなるといくら国が禁止しても、需要に応じて密造所がぼこぼこと誕生します。
化学・医薬の先進国であるということは、民間にも優秀な人材がたくさんいるのです。
ペニシリン製造の原理自体は単純なので、少量生産でよければ、純度や管理が多少甘くてもちゃんと効果のある製品が作れるのです。

同分野においては後進国であるリスト王国は、この魔法の薬の情報を得て、何とか自国でも生産したいと考えました。
そこで参謀本部と情報部はマリウスに命じて、過疎地域であるコルドラ山脈の東部(王国にとってはボルゾ川を隔てた北部)の密造所を探させました。
マリウスはアランが操るロック鳥に運んでもらい、上空から各地を偵察して怪しい施設をあぶり出しました。

あとは同じ帝国人で、集団催眠の技術を持ったクリス(前章の番外編に登場した帝国の逃亡諜報員)を連れて行き、まんまとその製造ノウハウを盗み出すことに成功します。
そして独自製造するに当たってのサンプル(お手本)を密輸入する段取りを取りつけたのです。

この作戦は今回の事件の直前、三月の前半に実施されていました。

次回になりますが、黒龍組はマリウスがもたらしたある情報で、カシルという街におけるこの薬の価値に気づき、大いに興味を抱くことになります。

そして、次回の後半からいよいよ本章のクライマックスに突入します。

予想外の敵が登場し、ユニにとって物語史上最大の危機が訪れます。
書いている作者自身がドキドキするような怒涛の展開ですので、どうかお楽しみに!

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する