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【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】閑話(157部分)

茶番の閑話(読み飛ばし推奨)

【ストック・パニック】



『やばい、やばいよやばい……』
「おい作者、何を一人でブツブツ言ってやがんだ?」
「そんなに頭を抱えてどうしたんです?」
『ケンツとシャロンさんか。実は……書き置きのストックが尽きちゃって……』
「だったら書けばいいじゃねーか」
『駄目なんです。僕はストックが尽きると余裕の無さにパニックになっちゃって……!」
「は?」
「週一配信なのにストック切れ……?」
『そうなんです。この所ずっと一話分のストックはあったのに使い切ってしまいました』
「おめー、今週何やってたんだ?」
「いくら忙しかったからって3000文字くらいならなんとかなったはずでしょ?」
『実は、自由時間を漫画読み漁っってたら時間が無くなっちゃって』
「は? 漫画?」
「先に書いてから読めば良かったのに」
『最初はそうしようとパソコンの前に座ったんですよ。でも抗えなかったのです! アマゾンでポチっちゃってキンデルで何度も読み漁りました。物凄く面白かった』
「ふーん」
「ちなみになんて漫画なんです?」
『これです』

作者はiPadのキンデルライブラリを見せた。

「コミカライズ版【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 10】と【乙女ゲー幼稚園はモブに厳しい幼稚園です1】か」
「それに【転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す8】ね」
『うう……』
「まあこりゃしょうがねえな」
「桁違いに面白い作品だもの。そりゃ自分の小説なんか手がつけられなくなるわ」
『でしょう!』
「でも作者はなろう版の小説読んでたはずだろう」
「そうそう、ストーリーはわかってるんだから我慢できたはずだわ」
『コミカライズ版にはコミカライズ版の抗えない魅力があるんですよ!』
「ああ、うん。そうだな」
「否定はしないけど…… でもケンツおかしいわ。たった三冊の漫画で執筆が滞るかしら?」
「たしかに。おい作者、そのiPadよく見せてみろ」
『ああだめえ!』
「女みたいな声出してんじゃねぇ! どれどれ」
「他にどんな本を読んでいるのかしら」
「【異世界不倫2】【コイビト・スワップ】【味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す】……」
「【薬屋のひとりごと】【魔導具師ダリヤはうつむかない】【誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~】……」
「他にもたくさんあるけど……」
「全部漫画ばかりね……」
「そりゃこんなに漫画ばっかり読んでりゃなぁ」
「執筆なんて出来るワケないわ」
『僕が悪いんじゃない。こんな面白い作品を世に送り出した原作者と漫画家と出版社が悪いんだ!』
「原作者様と漫画家様と出版社様に文句言ってんじゃねえ! まあでもそういうことなら」
「解決方法は一つね」
「「iPad没収!」」
『ああ、そんな!?』
「そんなじゃねえ!」
「ケンツまだよ。ネット回線遮断しないとパソコン使って漫画を読み漁るわ! ううん、漫画だけじゃない。なろうやカキヨムの小説にも目を通さないようにしないと」
「おう、一番肝心なことを忘れていたぜ!」
『ネット回線遮断!?やめろ、やめてくれ!』
「「 そーい! 」」
『回線を遮断されたら小説をアップロードできなくなる!』
「「 え? 」」

ブチッ

ランケーブルが引きちぎられた瞬間、ケンツとシャロンのいた世界は更新と言う名の時の流れが止まり、やがて闇に包まれた。


Bad end

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