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【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】102 第三十八話 02 削除エピソード


【102 第三十八話 悩めるバークと召喚勇者の末路 02】

今回は上記より削除した部分を参考までに。
ユリウスとミヤビによるユキマサ達との話し合い部分です。



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「ケンツ、バーク、すまんが俺とミヤビに代わってくれるか」

ユリウスとミヤビはそう言って割って入ると、俺達を少しだけ遠ざけた。

なんだ?なんの話をするつもりだ?

小声でよく聞こえねーぞ?


「おい、死にたくなければ言う通りにした方がいいぞ。気が付いているだろうが俺には勇者法は通じない。この現人神ミヤビにもな。それはわかるよな?」

「…………」
「…………」
「…………」

「つまり俺達はおまえ達を殺したとしても、多少は揉めるだろうが最終的には放免される。だが俺は多少でも揉めることを良しとはしない。おまえ達がもう俺達と干渉せず、そして今後誰にも迷惑を掛けない生き方をするなら助けてやる。だが断るのなら今すぐその首を刎ね落し、絶対に再生できないように豪炎で滅殺する」

「態度を改めるか、今すぐ殺されるか、どうぞ好きな方を選んでください。私もユリウスさんもどちらでも構いませんよ。ああ、なんならダンジョンの可愛い|レッサーラミア《魔物種のラミア》達の糧として、一生精を搾取され続けるというのはいかがですか?」


ミヤビはペロリと舌なめずりしてユキマサ達に選択を迫った。


「バカ野郎、そんな選択どれも飲めるか!」
「俺達は勇者だ。現地人の猿に屈するもんかよ!」
「いいから縄を解け!テメーら二人は見逃してやる。他は全殺しだ!」



(ここより削除部分)



「そうか、そう言うつもりなら仕方がない。せっかく人の姿で生き返ったところを申し訳ないが、なるべく苦しませずに滅殺してやろう」


ユリウスは両の手に魔力を込め、豪炎を顕現させる。


「へ、へへへ……」
「選択肢は他にもあるぜ」
「俺達を舐めてんじゃねーぞ!」

「なに?」
「はい?」


ユキマサ達がそう啖呵を切ると同時に三人の目に怪しいオーラが溢れだした!


「「「 |勇者の魅了《チャームアイ》! 」」」


ユキマサ達はミヤビに向かって|勇者の魅了《チャームアイ》を放出!

超至近距離なので絶対に避け切れない!


「きゃっ!」


ユキマサ、タケヒサ、ショーゴ、三人分の禍々しいオーラがミヤビのつぶらな目に突き刺ささる!

そしてミヤビはトロンとした表情に……


「ふははははは!ミヤビよ、これで貴様は俺達の付属物、専属奴隷だ!」
「バカな女め、舐めてかかるからこうなるんだよ!」
「さあやれ!まずはユリウスを殺せ!殺すんだ!」

「フシュルルルルぅ…………ユリウスさん、申し訳ないのですが召喚勇者様の命令です。その種を頂戴しますわ♡」

「え」

「なぜ種!?」
「違う、種じゃない」
「早くユリウスを殺せ!」

「あーあー、聞こえませーん。さあユリウスさん、大人しく絶滅危惧種ラミア族救済のために、お種を頂戴……とう!」


ミヤビはそう言うと、満面の笑みかつ瞳にハートマークを浮かべてユリウスに襲い掛かった!

しかし――


「てい!」


― ガツン!


「きゃいん!」


ユリウスはミヤビの額にチョップを食らわした!


「ユリウスさん酷いです!ちょっと遊んだだけじゃないですかぁ!」

「いやいやミヤビ、今のは本気で俺の種を奪うつもりだったろ!」

「ちっ……」


ミヤビには|勇者の魅了《チャームアイ》が効いていなかった!


「なぜだ!」
「なんで効かない!」
「落ち着け、効かない時は重ね掛けを……」


ユキマサ達は|勇者の魅了《チャームアイ》第二射を撃とうとしたが、ミヤビはチッチッと指をフリフリする。


「無駄です。召喚勇者の貧弱な魅了なんかじゃ私を堕とす事は出来ませんよ。それに魅了というのはこうやって掛けるものです。|ラミアの魅了《ラミアテンプス》!」


― ギッパァ!


今度はミヤビの目が大きく開き、どピンク色のオーラがショーゴの目に捩じり込まれた!


「はうううううぅぅぅううう!?」


ラミア族は召喚勇者とは比較にならない超強力な魅了を使う。

もはやそれは魅了というより洗脳に近く、掛けられた男は術者の言いなりになってしまうのだ。

あまりに非人道的な魅了術のため、ラミア族は自ら封じてはいるが、今のように相手が魅了を仕掛けてきた場合のみ、カウンターテンプテーションとして使うこともある。


「ミヤビさまぁ、どうぞ命令をお与えてくださいませぇ。私は忠実な犬でございますぅ……はぁはぁ……あはぁ……」

「ショーゴ!?」
「嘘だろ!?」


ショーゴは一撃で堕ちた。

いつも魅了する側だった召喚勇者。

それが魅了される側になるとは夢にも思わなかったことだろう。

敵の忠実な下僕に成り下がり、無様な牡顔を晒すショーゴを見て、ユキマサとタケヒサは愕然とし戦慄を覚えた。

これまで魅了を使い散々非道で外道な事を行ってきた彼らだからこそ、その魅了が自分達に向けられる恐怖は半端なかったようだ。

なにしろ魅了は人の尊厳を奪うのだから。


「なかなかエグイ……いやキモイな……」
「えへへ、でもユリウスさんの魅了には勝てませんよぅ」


ミヤビはそう言いながら指をパチンと鳴らした。

途端にショーゴの魅了が解除される。


「さて、改めて返事を聞こうか」

「わ、わかった降参する!」
「おまえ達にはもう干渉しねぇ!」
「今後の態度も改める!」

「「「だから魅了は勘弁してくれ!」」」


召喚勇者達は白旗を上げた。



「おーい、話がまとまったぞ。こいつらはもう俺達には干渉しないそうだ」


ユリウスは離れていた皆を呼んだ。

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