【110 第四十一話 武闘大会 01】の没エピソード。
ケンツの寝坊バージョンです。
「うん、これは無いな」と没にしました。
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◆ケンツの宿泊先(武闘大会当日 朝8時15分頃)
Sideケンツ
朝、目が醒めるとシャロンの姿はいなくなっていた。
「シャロン、ありがとうな。おかげで十分癒された。体調はこれ以上ないほどに万全だぜ!」
こんなに熟睡したのは久しぶりだぜ。爽快感が半端ない!
よーし、シャロン!
俺はバークに必ず勝つ!
勝ってシャロンのオッパイをまた堪能するぜ!
― バッチーン!
「勝つぞ!絶対に勝つ!」
俺はまだオッパイの余韻が残っている頬を両手でぶっ叩き、気合を入れ直した。
と、同時に――
― バッコーーーーーーーーーーーーーン!
部屋のドアが破壊されたかと思うほど、凄い勢いで開いた!
「なななな、なんだ!?強盗?あるいはテロか!?」
― ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ
そして地鳴りのような足音で部屋に入って来たのは……アリサ!?
「ケンツさん、一体何やってるの!?」
「なにって……俺は今起きたばかりなんだけど……?」
なんだ?アリサは何を怒っているんだ?
「今!?何やってるのよ!寝虫?寝虫なの?あと15分以内に大会受付しないと不参加扱いになるわよ!」
「な、なにい!?」
窓から顔を出して時計台を確認すると――
時刻は8時15分。エントリー締め切りまで残り15分!?
「嘘だろう!?」
俺は慌てて身支度を整える。
俺が寝坊だなんて有り得ねえ。
普通こんな時って神経が研ぎ澄まされて早く目覚めるものだろう?
それが寝坊って……
これはあれだな、
シャロンのオッパイに完全に堕とされちまったんだ!
恐るべし、シャロンの|魔乳《オッパイ》!
「まったく、なんでそんなにノンビリしてるんですか!?」
「いやその、シャロンのオッパイの心地よさに熟睡しちまって……」
― |#《ピキッ》
アリサのコメカミが#←な感じに引きつる。
「ケンツさん、アンタ決戦前に何やってんの?」
アリサにアンタ呼ばわりされちまったぜ!
あと目が据わってて怖いぞ!
「おいアリサ、汚物を見るような目はよせ!俺はちょっとシャロンのふくよかな胸に顔を|埋《うず》めて……」
― |##《ピキキッ》
「スケベ!変態!詳細なんか聞きたくありません!ほんと何やってのよ!このポンコツカップル!」
ひでぇ!
俺は癒されていただけだぞ!エロやらしい事なんかなーんもしてねぇ!
妄想で責めるんじゃねーよ!アリサの心は汚れているぜ!
俺は弁解しようとしたが、ギロリと睨み返されて沈黙した。
やばい、反抗的な態度を取れば、試合前にアリサに殺される!
それにしてもよく寝たなぁ。
たしか夕べ眠りに堕ちたのは8時少し回ったくらいだから、まるまる12時間寝てたのか。
シャロンのオッパイ効果だけじゃなく、肉体的にも精神的にも疲れが溜まっていたんだろうなぁ。
俺は急いで身支度が整えて、アリサにガナリ立てられながら武闘大会会場の|コロシアム《闘技場》に向けて駆け出した。
「おーい、ケンツさーん!」
途中、後ろから声をかけられ振り向けば…………
なんとバーク、キュイ、キリスも全力で走って来やがる。
声をかけたのはバークか。
「あいつら寝坊でもしたのか。こんな大事な日に……全くたるんでやがるぜ」
「ケンツさん、イラっとするので黙って下さい」
「あ、はい……」
やべぇ、またアリサに睨まれた。
「はぁはぁ」
「ひぃひぃ」
ん?なんかキュイとキリスの顔色が悪いな。髪も乱れているし酷く疲れているような……病気か?
実は、バーク達は明け方まで爛れたあと、少し仮眠を取ろうとしてうっかり寝過ごしたのだった。どうやら欲に目覚めたバークには、睡眠欲に抗う事が難しかったようだ。
三人の睡眠時間は其々僅か2時間程度。
バークはとにかくとして、キュイとキリスは|営み《・・》で体力を消耗してしまい、寝不足なこともあってヘロヘロな状態だ。
「よう、時間には正確なバークが遅刻とは珍しいな。寝坊か?」
「そう言うケンツさんだって遅刻じゃないですか。どうやら僕と同じ理由みたいですね」
バークは、なぜか一緒に走っているアリサを見て一人納得していた。
「(てっきりシャロンさん一筋かと思っていたけど、実はそうじゃないのか。やはりケンツさんにシャロンさんは任せられないな)」
「(同じ理由?バークめ、特訓疲れが出て寝坊したんだな。あるいはキュイとキリスのオッパイサンドイッチで熟睡か?)」
お互いに【ブーメラン】かつ【おまえが言うな】状態。
二人とも「自分がすることは相手もするはず」と決めつける、典型的なクズ思考であった。
おしまい