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【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】第二十九話 参考エピソード

アドレア連邦に来る以前のアリサの魅了遍歴エピソードの一部です。
参考までに。


【堕ちる】08より

登場人物
・アリサ=四級剣士の剣技を持つ花屋の娘
・ダン(加藤弾)=スラヴ王国の召喚勇者
・ユーシス=アリサの想い人 四級剣士の剣技を持つ鍛冶屋

「〈勇者の魅了〉! 」

 勇者の魅了が発動した。

 ― キンっ!

 ダンの眼から禍々しい魅了のオーラが放たれ、アリサの瞳を襲う!

 瞬間、アリサの頭の奥深くで“キュイーン”と何かが響く。

「え?、あ……」

 アリサの動きが止まり明らかに動揺する。

 ― トゥクン……

 自身を奪おうとして、ユーシスをズタボロに叩きのめした憎き召喚勇者ダン、そのダンにアリサは確かなトキメキを感じた。

「〈勇者の魅了〉か! アリサ、目を合わせるな!」

 ユーシスが悲鳴を上げる!ザワザワと背中が泡立った。
 頭を左右に振り必死で正気を保つアリサ。


 「(これが勇者の魅了、相手の心を侵食して女性を堕落させる外法……)」


 ユーシスの方を向き、笑顔を送る。


 「(大丈夫、私はまだ大丈夫、まだやれる……)」

 自分の胸をドンと叩き、理不尽なトキメキを無理やり抑え込む!

「はあああああああ!」

 再びダンに向かって突撃していくアリサ!

「ははは、すげえ!俺のチャームアイ食らってまだ立ち向かってくるのかよ!」

 予想外のアリサの耐性に驚愕しながらも、状況を楽しむダン。

「いや、ほんと凄いわ、それじゃあオカワりしてやるよ」

 アリサの顔が真正面に向いた刹那、

「〈勇者の魅了〉……2連撃!」

 ― キンっ!キンっ!

 再びダンの眼から魅了のオーラが放たれアリサの瞳を襲う!

 先ほどよりより強く、エグく、アリサの頭の奥深くで“キュイーン”と不快な何かが突き刺さる。

「くぅっ……!」

 より強く魅了のオーラに襲われ、流石に身体が如実に反応しだす。

 ― トゥクン!

 抗えないほど強いトキメキ、身体は熱く火照りだし、気を抜けば腰が抜けそうになる。
 それでもアリサは立ち向かう!
 心が、身体が、ダンを求めているのがわかる。

「(こ、こんなマヤカシの気持ちに流されるな!)」
「うわああああああああああ!」

 振り切るように斬撃を繰り返す。

「おいおい、マジかよ、まだ自我を保つなんて嘘だろ!?」

 ――今までどんな女でも〈勇者の魅了〉食らえば一撃で沈んだ。
 だがコイツは三撃食らってまだ立ち向かってくる!――

 流石に本気で驚くダン、だがしかし……

「なら堕ちるまで何度も喰らわすだけだ!」

 ダンの瞳が怪しく輝き〈勇者の魅了〉を発動する!

 四撃!
「はぅっ!」

 五撃!
「くぅっ……」

 六撃!
「くはぁっ……」

 七撃!
「がっ!……」

 八撃!
「ぎゃんっ!」

 九撃!
「ごふっ、ハアハア……」

 驚異的な精神力で必死で耐えるアリサ、しかし彼女はとうに限界を超えていた。

 〈勇者の魅了〉了、十撃!
 「!………… …… …」

 アリサの頭の中で耐えがたい不協和音が爆発し、やがて治まっていく……
 カラン……
 剣が手から滑り落ちた。

「アリサ? (なんだこの不安は……)」

 今まで感じたことのない不安に、思わず吐きそうになるユーシス。
 ゆらりとアリサはユーシスの方を向き……

「ごめんね、ユーシス」

 アリサは堕ちた。



*




【魅了再び、召喚勇者ハヤト】42より

登場人物
・アリサ=かなり強い。
・ユーシス=それなりに強い。
・ハヤト=チャイ帝国に強制召喚された勇者。本名オスカー・ブラウン。アメリカ人。
・マランパ=5級新人冒険者。アリサの友人。
・ハリセン=魅了を一発解除させるスーパーアイテム。


 アリサ視点 ――

「もうハヤトぉ、こんな人達なんていいから早く食事済ましてホテルに行こー。アタイさっきから身体が疼いて疼いてたまらないよぉ♡」
「はは、マランパはエッチな子だな」

 なに、この既視感?これじゃ丸であの時の私みたいな……
 あの時の私……まさか!? 
 驚愕の目でハヤトとかいう男を見る。
 これが失敗だった。

 ― キン!

 頭の間かに不快な音が響き、瞳を通して禍々しいオーラが私の中に入ってくる!

「あ……ああ……」

 ― トゥクン……

 不覚!偽りの確かなトキメキをまたしても感じてしまった。

「じゃあ、また後でね。お嬢ちゃん♡」

 その男は私に不快を与え、そして不本意なトキメキを与え去って行った。

「ユーシス……」

 消える、消えてしまう、
 ユーシスへの想いが手に掬った水のように指の間から落ちていく。
 ユーシスの想いがまた消えてしまう!
 いや、いやだよ、ユーシス、私またあなたを裏切っちゃうの……?

「どうしたアリサ?」

 私は震えながらあの男の外法、|勇者の魅了《チャームアイ》の精神汚染に必死で抵抗する。

 魅了の力に屈したい悪魔の囁きと、ユーシスの想いを守りたい心が激しくぶつかり合い、顔色は赤くなり青くなり目まぐるしく変わる。

「大丈夫か!おい!」

 膝をつき震えが一層大きくなりそして

「うぷ、うげぇぇぇ」

 私はさっき食べた料理を全て吐いた。
 気持ち悪い、楽になりたい……
 思わず魅了に屈しそうになる。
 ユーシス、助けて……
 ユーシスに助けを求めようとした時、彼のベルトの上に巻いてあるそれが目に入った。

「ユーシス……ハリセン……ハリセンを使って、早く!」
「ハリセン!?」

 ダーシュ様から貰った状態異常を解くハリセンを使えば!

「さっきの男、召喚勇者よ!だから早くハリセンを使って、お願い!」

 超速理解してくれたのか、ユーシスは言うが早いか抜剣ならぬ抜ハリセンで何の躊躇いもなく私の頭頂部を全力でしばく!

「おりゃああああああああああ!」

 ― スパーン!……パーン!……パーン……

 乾いた清々しい音が街中にコダマして鳴り響き、頭の中の不快なモヤが一瞬で消え去る!

「はぁはぁ……」
「大丈夫か!俺がわかるか!」

 涙と鼻水と吐瀉物で、私の顔はきっと酷い事になっている。
 呼吸も荒く、身体の震えも残ってるけど、頭の中は嘘のようにスッキリした。

「だ、大丈夫、もう大丈夫だから……」

 私は立ち上がりユーシスに背を向けハンカチで顔を拭いた。



*



【尋問終了/怒れる乙女・判決(解)】193より

登場人物
・アリサ=女神の祝福を受けて、鬼人の如く強い。
・ユーシス=アリサの想い人 めちゃめちゃ強い。
・禅(加藤禅)=IQ200を超える狡猾な召喚勇者。シャレにならない方法でアリサを魅了した。
・祐樹(西城祐樹)=アース世界から来た召喚勇者。ユーシス・アリサの親友。
・朱里(松本朱里)=アース世界から来た召喚聖女の卵。ユーシス・アリサの親友。
・瑠香(桜木瑠香)=リアース世界から召喚された殲滅女子。ユーシス・アリサの親友。
・陽子(多岐川陽子)=リアース世界から召喚された殲滅女子。ユーシス・アリサの親友。
・ミルーシャ=女神テラリューム系豊穣の聖女



 ―バーン!

 突然ドアが大きな音で開かれ、ぞろぞろと人が入って来た。
 朱里(あかり)、瑠香(るか)、陽子(ようこ)、そしてアリサも!?
 皆それぞれが物凄く殺気立っている。

「アリサ……?」

 アリサはユーシスの呼びかけには応えず禅(ゼン)の前に立った。

「おおアリサ!君からも言ってやってくれ!僕達は相思相愛だってことを!魅了なんてされていないってことを!そして君にとって害悪でしかないユーシスを殺すんだ!今すぐ!」

 アリサの顔を見るなり堰を切ったように喋る禅!
 最高のカードが戻り禅は狂喜する。

「あなたと相思相愛?」
「そうとも!」

「私は魅了されていない?」
「当たり前じゃないか!」

「ユーシスが害悪?」
「君を勘違いさせた張本人だ!」

「ユーシスを殺せ?」
「そうだ、今すぐ殺せ!全員皆殺しにしろ!」

 ………
 ……
 …

「ふざけないで!!!!」

 ―バッチーーーン!!!!


「グボラァアアアア!???」

 ―ドンガラガッシャン!ベチョン
 ―ブシュウゥゥゥ…

 金色の粒子と血霧、そして血涙、さらには雷まで纏わせてオーバードライブの平手打ちが炸裂!
 禅の下あごが完全に崩壊して欠損!そのまま床に叩きつけられる!

「|セイクリッドヒール《完全回復》!」

 アリサは瞬時にして崩壊した顔面を修復する。
 もちろん助けるためではない。怒りをぶつける為だ。

「誰と誰が相思相愛よ!」
 ―ゲスッ!

「がっつり魅了しておいてフザケタこと言わないで!」
 ―バキッ!

「ユーシスは害悪じゃない!私のかけがえのない大切な人だ!」
 ―ドゴッ!

「よくも私にユーシスを殺させようとしたわね!」
 ―メキョ!

「人の心をさんざん|弄くり《いじくり》|弄んで《もてあそんで》!玩具(おもちゃ)にして!しかも唇まで!……アンタなんか、アンタなんか!死ね!死ね!死ね!死んじゃえええーーー!」

 ―ゲスッ!バキッ!ドゴッ!メキョ!ドガガガガガ!

 普段のアリサからは想像できない乱暴な口調と激しい暴力!
 ただでさえ激怒しているアリサだが、今はさらに魅了絡みの事件に遭遇すると発動する、例の過激モードに切り替わっている!

「ぎゃああ!やめっ…おぶっ!?…げぼ!…うぎゃあああああ!あわびゅ!」

 ユーシス、祐樹、ミルーシャは唖然として見守っている…いや動けないでいる。

「はいはい、アリサそこまで!一旦ストップ!それ以上やったら本当に頭が剥げるから。朱里、あの野郎を全回復しといて」

 瑠香に言われ、朱里は肉塊と化しほぼほぼ死んでいる禅を全回復させ、緩んだロープを縛り治した。
 その瑠香は激しく入れ込むアリサを落ち着かせようとする。

「アリサ、どうどう、落ち着いて!……じゃあちょっと交代してと……アナリーザ・ファスティーヌ!禅の各種情報と、ここ5日間の記憶を解析!」

 殲滅スキルが発動し禅の解析が始まる。
 ここ5日間の記憶と聞いて禅は焦り全力で抵抗しようとする。

「やめろ!俺の頭を覗くな!」

 必死で頭を振ったりしたが意味のない事だ。
 瑠香はここ5日間の禅の行動および関連する事柄、その他情報を解析・理解した。
 と同時に――

「おええええー!げえええええー!」


 禅がアリサに何をしたのか理解した瑠香は、その内容の悍ましさ・気持ち悪さに窓を開けてゲーゲー吐いた。

「はぁはぁ、こいつ、ほんまもんの外道や!」

 しかも瑠香が理解したのは過去の出来事だけでなく、これから禅がアリサに対して何をするつもりだったのかまでも理解してしまった。




*



【アリサ堕ちる!? 激闘、ユーシスvsアリサ!三度目!】215より

登場人物?
アリサ=とんでもなく強い
ユーマ=召喚勇馬。競馬学校から誤って召喚されたサラブレット。


「出たわね、ユーマ!覚悟しなさい!」

 アリサは抜剣して勇馬と対峙した。

「でやああああああ!!!」

「|ヒーンヒン《チャームアイ》!」

 勇馬(ユーマ)の目から例のオーラが放たれアリサの瞳を襲う!
 しかも勇馬は人間と比べて巨大な目をしている為、|勇馬の魅了《チャームアイ》の威力も半端ない!

「なっ!?」

 まさか馬が|勇者の魅了《チャームアイ》を放つとは予想できず、アリサはモロに喰らってしまう。

 ―トゥクン……

 そして、いつものように偽りのトキメキが胸に響く。

 しかしそこはアリサ。

 それなりの魅了耐性があり魅了経験も豊富なアリサは、常人なら一撃で廃人にされるほどの|勇馬の魅了《チャームアイ》を食らいつつも簡単に屈したりはしない!
 その様子を見て勇馬は連撃を加える!

「ヒン、ヒヒン、ブヒヒンヒヒーン!?ヒヒンヒヒン!|ヒーンヒン《チャームアイ》!」
(むむ、この女、魅了耐性があるのか!?ならば連撃だ!チャームアイ!)

 ―ぶわっ!

 勇馬の目から放たれるオーラが次々と波のようにアリサを襲う!

「ス、ストライ……ああ、いやああああぁぁぁあ!!!!」

 アリサが相手の正体に気付き、慌ててストライバーを張ろうとしたが一歩遅かった。

 ―トゥクン!!!

 ひと際大きなトキメキが胸を鳴らす!

「はあぁ……愛しの勇馬(ユーマ)さまぁ……♡」

 アリサはまたしても魅了堕ちしてしまった。
 しかも馬に。

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