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地の文の表現と村上春樹さん

その時読んでいる小説などに影響を受けたりすることもあるのですが、総じて昔は次みたいなことをよくしていたなぁと。

「響きのキレイさを求めすぎる文章」
「当て字かと思うような漢字の並び」
「大仰な感情表現」

……みたいな。

今はどちらかというと「響きのキレイさ」というより目と喉につっかかったりしない流れを出来るだけ大事にしたいし、「当て字のような漢字」を使うよりも日常的に使用する言葉で情景を表したいし、「大仰な表現」ではなく些細な変化を拾い上げて重ねていくような地味な作業をちまちまやりたい気分だったりします。
私の場合、現代が舞台の話を書くのがほとんどなので余計そう思うのかもしれませんが。
(異世界転生モノとか書くようなことがあればファンタジーに全振りした表現になるかと思いますが、残念ながらハイファンタジーとかはよう書かないタイプです……)

ちなみに、文章表現については村上春樹さんの書き方は物凄く印象深いです。
個人的には『蛍』と『ねじまき鳥クロニクル』が一番好きなのですが、あの人の地の文って恐ろしく無駄がないんですよね…。
感情を誇張したりしないし、登場人物が見たままの情景を描写している感じがします。更に言うと「これどういう意味だっけ」という単語がほとんど出ないし、一文がスマートで簡潔だなぁと。

不思議な話なんですが、『騎士団長殺し』を読んでた時、「これ、翻訳本だっけ」と感じることが何回もありまして。
こう、日本の作家さんの小説って地の文から「今こういう状況ね」と解説しているんだなということを感じたりする訳ですが、村上さんのはそういうことが私にとっては少なくて。「果てしなく冷静な地の文」というか「抽象的な絵画を読み解く解説文」を読んでいるような感覚というか。

でものっぺりした平板な感じかというと全く違って、一文一文が積み重なることで物語の世界が「うぞぞぞぞ」と湧いてくるんですよねぇ。
あの独特な感じを味わいたくて定期的に読み返したりしています。

そんなこんなで、本日17時ごろに『瞬夏終冬』第7話を公開致します。
書きながら「やっぱり私はもだもだする感じが好きだわ」とひとりで思ったりしてました(笑)。

お時間ありましたらどうぞよろしくお願い致します。





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