舞香峰るねです。
読んでくださった方々、心より、ありがとうございます。
二つ目のお話は、 時間軸としては一章の少し前。
雨音を書きたいなと思いつつ、章題が決まらず……
雨音……あまおと……あまね……amanecer......
突き放した文体は、駄洒落にしてしまった羞恥からくるものです……
実家で発掘される、受験生時代のノートの端の書き付けや、プリントの裏の殴り書き。多くはつまらない落書き。でもたまに、鋭く刺すような感情の吐露が記されていて、それを見ると心が痛みます。同時に、どうしてあの頃は、こんなことで心を痛め、焦り苦しんでいたのだろうと滑稽な気持ちになります。
こうした目を覆いたくなるような書き付けをサルベージした結果が本章。
あの頃は、自分の周りで起こる小さな物事が世界の全てで、思うにならない多くのことに対して、絶望に似た感情を抱いていました。周囲から見たわたしは、恐らく順風満帆に見えていたと思う。でも、個人の内面は櫂も帆も失って彷徨う難破船・漂流船だった。
抜け出したくって、でも、難破船に乗っていることは居心地が良くもあった。
闇を恐れ、灯台のように煌々と光が照らし出す中でしか眠ることができず、波に煽られ風に晒された船室さながらに乱雑な自室は、目も当てられなかった。
今、身も蓋もない言葉で示すのならば、スチューデント・アパシー。
表面的にはいい子だったと思うけれど、内面は混沌として制御不能。
漂流船が座礁し、沈没船になるのは容易かった。
そんな沈没船の日々は、突然終わる。
わたしは大きな病を患い、でもなんとか踏みとどまった。
病室の白い壁を見つめながら、わたしはもう沈没船に居てはいけないと感じた。
そして、船から出る事は、怖くなかった。
暗い病室で、イヤホン越しに聞こえてきたタルレガの「ラグリマ(涙)」。
それが、弾きながら思い出し、聴きながら書き進めた第二章ノオト。
そんな話。
とはいえ…
せっかく学園を用意しているのに、「学園もの」になりえない、残念な思いでいっぱいのるねでした。