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るねさん's ノォト(3) サルベージ

 舞香峰るねです。

 読んでくださった方々、心より、ありがとうございます。
 
 二つ目のお話は、 時間軸としては一章の少し前。
 雨音を書きたいなと思いつつ、章題が決まらず……
 雨音……あまおと……あまね……amanecer......
 突き放した文体は、駄洒落にしてしまった羞恥からくるものです……

 実家で発掘される、受験生時代のノートの端の書き付けや、プリントの裏の殴り書き。多くはつまらない落書き。でもたまに、鋭く刺すような感情の吐露が記されていて、それを見ると心が痛みます。同時に、どうしてあの頃は、こんなことで心を痛め、焦り苦しんでいたのだろうと滑稽な気持ちになります。
 こうした目を覆いたくなるような書き付けをサルベージした結果が本章。

 あの頃は、自分の周りで起こる小さな物事が世界の全てで、思うにならない多くのことに対して、絶望に似た感情を抱いていました。周囲から見たわたしは、恐らく順風満帆に見えていたと思う。でも、個人の内面は櫂も帆も失って彷徨う難破船・漂流船だった。
 抜け出したくって、でも、難破船に乗っていることは居心地が良くもあった。

 闇を恐れ、灯台のように煌々と光が照らし出す中でしか眠ることができず、波に煽られ風に晒された船室さながらに乱雑な自室は、目も当てられなかった。
 今、身も蓋もない言葉で示すのならば、スチューデント・アパシー。
 表面的にはいい子だったと思うけれど、内面は混沌として制御不能。
 漂流船が座礁し、沈没船になるのは容易かった。

 そんな沈没船の日々は、突然終わる。
 わたしは大きな病を患い、でもなんとか踏みとどまった。
 病室の白い壁を見つめながら、わたしはもう沈没船に居てはいけないと感じた。
 そして、船から出る事は、怖くなかった。
 
 暗い病室で、イヤホン越しに聞こえてきたタルレガの「ラグリマ(涙)」。
 それが、弾きながら思い出し、聴きながら書き進めた第二章ノオト。
 そんな話。

 とはいえ…
 せっかく学園を用意しているのに、「学園もの」になりえない、残念な思いでいっぱいのるねでした。

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