前回のログインから四ヶ月余。
その間にも、「応援」を下さった方々もおられたようですが、気づくことすらできず申し訳ありませんでした。そしてありがとうございます。
ここに足が向かなかったのは、仕事の忙しさに加え、この「第七章」に向き合う気持ち・覚悟がなかったからでした。
覚悟なんて言葉を使うほどの書き物で無いことは承知の上で、わたしにとってこの七章は今までにないテーマで描かねばならない章でした。
古今、文学の主要なテーマの一つに「不貞」があります。
神話は言うに及ばず、中世のランスロやトリスタン、狐物語などなど。近代以降はボヴァリー夫人やアンナ・カレーニナ……枚挙にいとまがありません。ただ、文学など虚構として読むのはともかく、ゴシップ記事が伝えるような話には自然な嫌悪感を抱きます。
では、想像力を駆使し、描き手としてそれを扱うとしたら?
この一連の物語群の中で、この主題を扱うことは構想に入っていました。でも、わたしの倫理観はそれを描くことを嫌がります。そうしている間に時は流れました。
年が改まったことを機にようやく手をつけたわけですが、わたしにとっては小さくはない試みでした。この主題は、しばらくは描かないと思う。
話としては「第一章」の後日譚。そして時空を超えて「第Ⅱ章」へとつながり、「前作第一章」に少しだけ絡みます。「第一章」はちょうど一年前に書いているので、ヒロインは一年ぶりの登場。一年前、自分がどのように彼女を描いたのかは忘れていましたが、敢えて読み返さず、意識的に「思い出を美化するよう」に描きました。第一章と齟齬が生じていたとしても意図した結果です。
わたしたちの記憶や認識なんて、相当に曖昧。
読み返さずに正確さを期さない方が、作中時間にして七年の時の経過を表現できるかな、なんて考えて試みたわけですが……単なるものぐさですよね。
いつの間にかカクヨムコンも始まっていますね(もう終盤だけど)。
賞に興味はありませんが、せっかくなので「何も買う予定はないけど、一応ポイント10倍にエントリーしとこうかな」みたいなノリで参加を試みることにしました。
ついでですから「自転車」のほうからも一つ二つ、短編に出してみようかと思います。章単位での応募はできなさそうなので、エピソードの独立を試みてみます。
書きながら聴き、奏でた今章ノオトは16世紀には知られていたイングランドの俗謡“Green Sleeves”でした。色々な解釈のある詩歌ですから、登場人物の心見えを激しくするつもりだった本章のために、ずっと温存していました。
末筆ながら。
この新しい年は、悲しい出来事で幕を開けてしまいました。
一日も早く、全ての方の心が落ち着くようになってほしい、そう願わずにはいられません。16/01/2024
https://kakuyomu.jp/works/16817330648700768283/episodes/16817330669255089383