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「ライトノベル年表」さらに追加

『若者のライトノベル離れ』でさらに年表が追記されました。

https://kakuyomu.jp/works/16817330659071865553/episodes/16817330663604933664

1978年 小説版『SFロマン 科学忍者隊ガッチャマン』を総監督である鳥海永行氏が朝日ソノラマで発刊

この人、90年代後半に電撃文庫で『聖・八犬伝』という『南総里見八犬伝』のラノベ化を行った人です。何も総監督を務めたガッチャマンのノベライズだけを行っていたのではありません。
それにしてもアニメ版『ニルスのふしぎな旅』とか『ガッチャマン』クラスのアニメ監督が書いたラノベが歴史に残らないってどういう事なのでしょう? 私はやっぱり今のラノベ界って認知が歪んでいるとしか思えませんね。ちなみにこの人は『聖・八犬伝』あとがきにて「広大な関東平野のビル群や住宅街を消してみよう」みたいなことを言ってるんですよね。でないと八犬伝は理解できないと。

ラノベってそのくらい昔は高度だったんですよ。

ちなみにガッチャマンの放映期間が1972年~1974年です。つまりオイルショックの時に放映終了です。小説版はその4年後なのでだいぶ後に小説化したものです。今では考えられませんね。メディアミックス戦略というものがまだ当時は無かったのです。


ちなみにライト文芸も年表が追加です

https://kakuyomu.jp/works/16817330659071865553/episodes/16817330664401790550

2018年 『青くて痛くて脆い』が登場。ブルーライト文芸が一般化する

同一著者ですが2019年に『よるのばけもの』でも文庫化の時にブルーライト文芸に表紙絵を変えているんです。2016年版の本ではタイトルの通り黒い墨のような化け物絵に背景は白。僕が買った方はこっちの『よるのばけもの』です。ですが2019年にはより中高生に受けるようにブルーライト文芸という表紙絵となったのです。背景が青になって文庫化されたのです。

やっぱまともな読者はライト文芸や児童書に逃げた後なのでしょうね。今の時代なら「八犬伝のラノベ化」なんてNGどころか星が付かないでしょう。冲方丁の『黒い季節』もしかり。これほどのビッグネームが書いたとしても私が年表に書くまで2024年現在に歴史が伝わってないのです。それだけ読者評価システムって馬鹿がより馬鹿になるシステムですよ。時代が時代だったらラノベは文字通り大衆文芸の下位互換です。でもその地位はライト文芸が奪取しラノベはでがらししか残ってないのでしょう。

6件のコメント

  • いつもためになる情報をありがとうございます。
    最近のラノベにほほんと言いたいことが多いですね、このままでいいんでしょうかと思います。
  • 三流FLASH職人 様
    いつもありがとうございます。

    なおこの表には抜けてますが久美沙織様という方がコバルト文庫で丘の家のミッキーという本を書いており今だとライト文芸に相当する作品を書いていますよね(再販するとしたら表紙絵は青でブルーライト文芸化でしょうね)。この方、我が国の純文学としてのファンタジー文学からドラクエのノベライズまで書いたお方です。そういう大家がみんなラノベ界から消えてしまった。。。。妹尾 ゆふ子氏しかり。本物の純文学としてのファンタジー文学も執筆し同時に「マイネリーベ」のノベライズまでやっていますよね。

    こういう方々がラノベ界から次々去って行ったのです。

    住野よる氏もしかり。
    2023年には『恋とそれとあと全部』で第72回小学館児童出版文化賞を受賞ですからね。例の『膵臓』と『よるのばけもの』と『青くて痛くて脆い』の人は。『膵臓』ってなろう発なのに。

    もう私は今のライトノベルってライトノベルじゃなくてライトゲームノベルじゃないかとすら思ってるんですよね。特に「ステータスオープン」とかやる今のラノベ界って。そりゃまともな作家はみんな見切り付けますよ。
  • 文字通りの意味で、ライトノベルは『粗製乱造』状態がずっと続いているのだとは思います。
    これは(使い捨ての)作者が増えたことによる作品の増加もその一因でしょうが。
    角川スニーカー文庫や電撃文庫、ファンタジア文庫が誕生したころと今では、そもそもラノベに読者が本に求める内容が全然違ってるのでしょうね。
    今ではシンプルな、あるいは重厚な『ヒロイックファンタジー』って、全然出てこなくなってるかと……。
    ある意味では、最近のラノベ(と思われるジャンル)は、すでに『文学』としての側面は完全に失っていると思います。
  • 和泉将樹@猫部 様

    >今ではシンプルな、あるいは重厚な『ヒロイックファンタジー』って、全然出てこなくなってるかと……。

    そうですね。そういうのは『七姫物語』までかな。しかもその七姫物語もライト文芸に移籍の上、再販ですからね。

    >『文学』としての側面は完全に失っている

    私はこれ失ったらもうラノベって取り返しのつかないところまで落ちると思います。
  • ・読者評価システムって馬鹿がより馬鹿になるシステム

    ・時代が時代だったらラノベは文字通り大衆文芸の下位互換

    ・今のライトノベルってライトノベルじゃなくてライトゲームノベル

    いずれも仰る通りです。ジャン・クリストフが聴衆に向かって「諸君にはこれがお似合いだ」と言い放つ場面が想起されますね。
  • 杜若狐雨 様

    まあ今の全部のラノベは否定しませんがそれでも「薬屋」ですら2012年が第一巻なんですよね。その薬屋が今でも売れていて硬派ってことを感がると本当に審査員って本当どこを見てるんだろうなって僕は思うんですよ。だったら「ネクスト・薬屋」を受賞させるべきだろうって。

    ちなみにラノベで1000万部突破の最後の作品は転スラです。しかも2014年初刊ですからもう10年も1000万部突破作品が出ていないという異常事態にして緊急事態です。もう「公募をお止めになってプロ作家がラノベを書いてください」って言うしかないですよね。
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