前のノートで路上の歌手のことを書いたんですけど、結局ヘッドホンをして YouTube を垂れ流しながら仕事することにしました。集中力が欠けること夥しいけど仕方がない。
で、ランダムに聴いているうちになぜかスティングに辿り着き、ソプラノサックスに釣られて Englishman in New York のビデオクリップを見てしまいました。
スティング、若すぎる。そして美しすぎる。サックス、かっこよすぎる。こんなの見ると仕事放棄したくなる。
このビデオにはイギリス人と思しき「老婦人」が出てきます。イングリッシュマンなのになんでおばあさんなんだろうと思っていたら、この人が老婦人ではなく「男」だと知りました。クエンティン・クリスプという人で、ゲイであることを早くからカミングアウトした作家だそうです。知らなかった。
イギリスという国で同性愛者として生きるのがとても難しかった世代の方だと思います。ニューヨークに移住してからも自分のアイデンティティーを貫くのは簡単なことではなかっただろうし。スティングはそんな氏に敬意とシンパシーを持ってこの曲を作ったのだそうです。
曲はと言えば、♪アイムアンエイリアン…のサビぐらいしか知らなかったので、ちゃんと歌詞を読んでみました。
あらやだ、この曲、こんなにいい歌詞だったの。特に後半が素敵。
「謙虚さや礼儀正しさが悪評にしか繋がらない社会でも、君は唯一無二の存在として生き抜ける。
優しさも慎みも世の中には滅多に見当たらないが、夜になればろうそくの明かりは太陽よりも輝くのだ。
武装することよりも、銃のライセンスを持つことよりも、人としてもっと大切なことがある。
敵に相対したらそっと避けるんだよ。
紳士は歩いても走らない。
無理解に苦しんでも微笑んでこそ、一人前の人間というもの。
人にどう言われようと、君のままでいて」(拙訳)
スティングのクリスプ愛を感じます。ぐっと来ます。でも、この歌詞はけっして外国人や同性愛者のためだけじゃないと思うのです。
流暢なソプラノサックスとソフトなメロディで気づかなかったけど、こんなに骨太な歌だったのだなと、嬉しい発見でした。
ちなみにそのクリスプ氏は自伝的な作品を書いているらしいです。ちょこっと調べてみましたが、なんだか喉の詰まりそうな中身…。今でもゲイのアイコンとして有名だそうで。ひとつお勉強になりました。