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マナとわんこと

キューバは、土人の時代と奴隷の時代からつまりチェ・ゲバラさんが生まれる前からジェンダーロールが固定されてたらしい。他、LGBTQに厳しいアフロ南米地域や、マイルドでオカマとかホモが闊歩してたりするハイチやブラジルを含めたその辺諸国とアフリカの現ナイジェリアで拝まれるエレグア/レグバ/ラバス/エシュ(「Eshu」「Exu」)。
 山口昌男全集の『アフリカ』によれば、ヨルバの方の彫刻におけるエレグアは手で「おっぱいを支へる」形をとり、「女の持ち物」であるスプーンを持つ。上でちんちんが生えてゐる。“彼”は「渡米」先ではぢぢいなんだけどもフタナリっぽくもある。

エレグアのカミーノの1エシュ・アジェさんその一。
世界の富へ接触でき、巻貝の中に住む。彼の相棒オロクン大明神は1海神で2蛇体説があるといふトランスセックス関係のお約束が起動して、性別が資料によってa男b女cはにわり(両性具有だ)全部揃ふ。

その弐
 彼は魔法使ひ説がある。阿部年晴『アフリカ神話との対話』によれば、術系の語で妖術と訳されるのが「アジェ」。あと、ナイジェリアはオショグボって書いてある、の鎮守の森にましますオリシャ、オシュンはエレグアの母親で、アシェ(氣とかプラーナだからマナでいい筈)を管理すると言はれる。檀原照和『ヴードゥー大全』によれば、イェマヤの妹で鏡を持ち魔道を司るオリシャのオスンは、女性のジェンダーロールを司るオチュンとは別なのだが諸資料で混同されてゐる。

エレグアのカミーノで奇跡を起こす呪物の集合体エシュ・オダラとか、一応魔道の儀礼場である十字路を司るエシュ・メリンラジェは別に。

弁才天 女性のジェンダーロールバリバリなのだが、水と関連し蛇がどうたら言はれる。にゃー。こっちは配偶者(確か)がブラフマン。

 なんかアシェとアジェのロジックが、日本語のスピ系体系「母音とTD音」と似るなぁとか。ヨルバ人文化圏のこのターミノロジーが稲作文化でいいですのおまけとしてきた可能性はないでいい筈。

 アシェが凝り固まってできたのがオリシャであると言ふのがヨルバ関係の信仰。中尾佐助の照葉樹林文化説を好む諸星大二郎御大の方、の花咲かぢぢいのわんこの辺に似るのは、諸星先生この辺勉強してる臭なくていいですね。

 『花咲か爺』の犬。名前はポチでもいいらしい。しかも支那の話にある「枯れ木に花を咲かせませう」モチーフは斧原孝守説で、近代に日本から持ってったもの。さらに、他の支那の原典の方では、鶏と犬が犂を引いてゐる。斧原孝守説で、もともとの花咲か爺話は歌ふ猫様がどうたらだったのだが、「働くわんこ」モチーフが入って傳播し獣の死体から生えた植物が何かになって燃やされる際に出る灰をバージョンで秋津洲でまくのが発生した。さらにバリエーションで、朝鮮系の「獣の死体から生える植物が天のくらを突き破って豊穣が出る」話も傳播してゐる。すとーんさーくるがー。あと謎の『雁取り爺』ではわんこは獲霊(サチ)と呼ばれる外来魂としての一面がなんか。

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