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トロルを屠る

「太ろうと山へ行った三匹の牡やぎブルーセ」に出てくるその辺の本で確認し得たヤギさんの名前。一般的な「がらがらどん」、原典のブルーセのままの他、 ドンガラン(『ノルウェーの昔話』) シャガレンボウ(乾侑美子)があった。さう言ふ訳で、三匹の牡ヤギはトロルの棲むところを経由して丘だか草の茂土地へ太るために行き、ソレをやっつける。

 『ラーヤとなんとか』にトゥクトゥクとやらいふ「丸かる装甲獣」(D・ディクソン『アフターマン』@初出が1983年のテスタドンに酷似。なほサイズ他は完全に異なる)が出てるんだから、アフターマンで覇者となった、角が口の前部までせり出し、無駄にあった下顎の歯と併せて「第二の歯」になる歯式をヤギに適用しても。ちなホーンヘッドと呼ばれるソレは人類絶滅後なん千万年か後に、「下唇と歯としての角」といふプレ歯式が出る他、ある種の装甲齧歯類が顔面に根っこ食べ用の甲羅を持つ。

トロルを屠る女性lurvehetteといふノルウェーの傳承に関する換骨奪胎の面目躍如な関係。
 一応双子で片方が呪はれてると言ったらREハワードのコナンの一『魔女誕生』があるのだがソレをどうたらするとお客さんがアメリカザリガニのやうに、あぁ。ただでさへ1970年代後半のフェミニストの人がさういふイデオロギーへ都合の良い話集へ入れてをると言ふのに。

「トロル」(1970年代のフェミニストに都合のいい話版)だか「魔物」(谷口幸男)だか「魔女」(ルース・マニング=サンダースの奴を邦訳したもの)をやっつけるアイテムに柄杓だかスプーン(原典はsleivだがノルウェーの言葉で匙的なもの指す呼称にtreskeiもある)が出る。「総理大臣岸田文雄先生がウクライナ大統領ウラジミール・ゼレンシキーへ杓文字渡した件」は、「匙系がマナを召し取るアイテムである」言訳に―、フェティッシュとしての杓文字は偶像ではないのでユダヤ人の元々の奴である偶像崇拝禁止を回避し得るし、日本のマナ以外に「ルーアッハカドッシュを召し取」れるかどうかはあれだけども、彼は来日はしたのだけどもー。
 それにしても、二千二十年代のの儂らは各国首脳が北狄懲罰のゲンがある宮島の弁才天を拝むてふかを見る機会に恵まれてしまったのである。なんか嫌。
巫女はんが術を行ってる近所の見えないところへ、お杓文字を入れると巫女はんが術を為せないといふ傳承はある。

 ある王国。王は、子がなかった。の去勢の言訳として機能を一応するアレ。城の中で、魔道トロル@女性系がコミュニティを作ってゐた。a実際に呪ふ かbぎゃあぎゃあ騒ぐので王室困る、かなんか。「お妃さまは市井の臣民がやる「子供への折檻」を羨ましがる」のをー、ううーむううーむ。

 何とか言って終に王は、養子をとることにする。言訳を考へる。で、来た子供は、娘な上に乞食のやうな浮浪児とよく遊ぶ。おかんの自覚がある妃は、友人を選べといふが子供は聞かない。妃自ら排除に出ると、乞食少女は自分の母親が陛下の不妊を治す手段に詳しいと進言する。ちょっと端折って、おかんの方の対応は当たりさうだけどまともにする。

 魔道乞食の言訳として、巡礼がどうたらとか。

 王妃はその、どう見てもその辺の乞食にしか見えないをばはんへ、菓子を與へ酒を振舞ひ、聞いてみると、子作りの秘法を授かるのだが。
 魔道の人が止めはする「トロル屠るもの」生産魔道の関係に関する言訳を。こっちでトロルに虐げられた人が、辛うじて王侯へソレを授けるに関し頓智が発動する言訳を考へるとなんか作品が消える。

 そして王妃は、確かに美少女をひるのであるが、その前に設けた一番目の娘は、まぁ可愛い子であったが、破邪の相があった。羊膜の構造と他を調べる。Sely how(聖帽)とかCaulなど生まれた時についてる羊膜の呼称が、あぁー。

 王家に何某かの専横がはびこる中、長女は、ヤギの騎乗技能とスプーンによる魔道(プリキュアより)を修める。長じた彼女は女性のみが行ける空間で悪逆の限りを尽くすアレをやっつけるが、そこへは妹もいけるのであれなのであった。少林寺のお杓文字法とかがアレできれば。

 ファンシーなものが降魔破邪をしてしまふ物としてライマン・フランク=ボーム『サンタクロースの冒険』で確か結構なのが。

 『眠り姫』ペローの奴。どこぞの国の王様が、鉱山持ちまくりなオーグル女性と結婚、子まで作る。こっちではオーロールとジュールはそのオーグルハーフと眠り姫の間にできた子供の名前。参考。

 トロールハーフは、『折れた魔剣』では悲劇っぽいのだが、傳承ではトロール女性と竜騎兵の兄さん(実家が裕福で鍛冶のスキルもある)がいろいろあって「末永く幸せに」暮らしたり、結構関係の良いのがある。しかも変装魔道があるのに旦那とは「すっぴん」で付き合っとるトロールコナさんが。

 養子がトロール(のDNA上のパパが養父とか)との婚姻をするに際し彼へ魂を入れる道具としてスプーンを使ふとか。あと霊魂を得たトロールが「尻尾を落とす」的な描写も。

 トロールの従業員案。ノームだかニッセ、あーノルウェーノルウェー言ってるけど、ノルウェーにも類話があるアンデルセン『旅の仲間』の魔道トロル(Trold)から引いてスモーニッセ(家の精ミニ)とルクテマン(炎の関係)と箒関係とか。この辺の術は、魂があってもなんとか行けるみたいな設定で。

 そしてその後、「九条袈裟乃さん(仮名)」は得物を振り回しトロル屠るヤギ、シャガレンボウだかブルーセにうち跨り
 「をらどこぢゃフィフェルキンたらいふオニはぁ!出てきてさくさく勝負せぇ!」(資料 山田章博『鵺』)
 をやりつつ、妹を適当なところへ嫁がせ、自身もアレしました。ううっ。参考として『ベルサイユのばら』のオスカルのその後とかを。
 うっとりするやうな笑顔を向けた九条さんがトロルの人へ得物突き立てながら
 「おらどないや?もう後があれへんぞ」
をやるシチュ。 山田章博『鵺』原典では内侍のおねいさんが自分は「この日この時この状況でさえなかったら」こんなことをやらなかったので、「まあ間が悪かったと観念さらせ」とやっつける。あの画力で遣る娘さんの「往生せいやぁ!」はかっこいいのである。山田先生は後に『Beast of east』で、「夜獣」といふ鵺さんを出す。

 こっちの、長女と旦那との婚礼におけるアレと、『スリュムのなんとか』のトゥールとベルグリシ(巨人の人)スリュムさんとの婚礼関係。の影響で、『赤ずきん』と狼さんの対話ができた説がどっかにあった筈なのだが資料を忘れてゐる。北欧人へミョッルニルを連想させ得た古代人の石斧の他、鏃も「雷様アーティファクト」だといふ傳承があるみたい。で、縄文時代に皮コソゲとして使はれた石器が「天狗の飯匙(「てんぐのめしかひ」の筈)」と言はれて江戸時代とかにお拝まれてはをったんだ。降魔破邪のゲンは無さげだ。

 田中芳樹『アップフェルラント物語』ここの女王は、まともで、親戚付き合ひをしまくり、良政を行ひ、ちゃんと国の危機へ対峙するのであった。「まともな為政者」出して、ある程度の人気を得るのは神の所業なのだが、本書の刊行後、「欧州のどこぞへ小国をでっちあげてどうたら」話そのものがアレする。

 『指輪』以来のトロルディヴァージェンシー。先生へ査察を入れるジャガトマ警察は、一見するとポリコレ棒っぽい、オークの複数形としての「Oaf」(取り換へ子の他発達障害かなんかの人も指す)を却下してると言ひ張れるらしいのだが、『ホビット』刊行一発目で「トマトのピクルス」が出ちゃってる以外に、その段階では「英国下層民の英語」を操ってをった洞窟トロルは「指輪」で喋れないといふ設定になってをる。あー、ハリポタでもトロルに「人外の言訳」あるし。洞窟トロル、森トロル、丘トロルの他に水トロルはイングリ&エドガー・ドーレア『トロールものがたり』以来の傳統。『崖の国物語』ううーむ。

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