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槌とか斧とか

 南方熊楠によれば、汎世界的に石器時代の石斧を槌として拝んでたらしい。アフリカの「ヨルバの雷神サンゴ」はアヤン木とやらのど突き棒をもつとしか南方先生書いてないけどサンゴと思はれるシャンゴは雷の他に放射線や爆炎を司り手斧持ってるのであった。なので、さう言ふ「石斧とか乳鉢状のものとか=槌」でミョッルニルとやらがあるさうである。訳の分からないバトルアックス体系の延長に「トゥールハンマー」が敵を粉砕する『銀河英雄伝説』が。さう言ふ訳でアレは白兵の武器=斧だし。
なほ阿部年晴『アフリカ神話との対話』によれば、「山口昌男が「アフリカの天神様」と呼ぶ」ヨルバのシャンゴさんは、雄羊にうち跨りハンマーを持つとされる。
ジャン・シュヴァリエ、アラン・ゲールブラン『世界シンボル大事典』でも唐代の支那、ケルト、マヤにそこ以北のインディアンの間で石斧を「雷石」とした説を採る。また同著によれば石斧はヴァジュラ、トゥールハンマー、蛇の杖と比較しうるといってをる。


水木しげる『世界の妖怪百物語』での「打ち出の小鎚」がどうたらは、『酉陽雑俎』の原典では『こぶとりじいさん』もののフォーマットが展開し、主人公をいびるが却って成功しちゃふので妬む隣のぢいさんに当たる人が出る。さらに、然るべき人の子孫が、小鎚(「錐」って書いてあるけど)を振るって「狼の糞よ出ろ」と言ふと壊れる。金銀ばっか出してたら、てふとフロイト的に興味深いんだけど。

 そしてソレの影響を受けた日本の打ち出の小鎚物で、竜宮城いったぢいさんが小鎚もらって、それを振り
「米 倉」
を言ってるとえらいこと出る。それを妬んだ隣のぢいさんが、それを借りて「こめくらこめくら」と言って振ると、小さい視覚障害者が夥しく出てぢぢいを襲ふと言った笑話がある。盲目がわらわらってのは内田百閒先生がやってた。

ソレのネタ元であるインドの話は、兄貴が「ダキニの持つ」打ち出の小鎚でなんとかかんとか。ソースである『屍鬼二十五話』東洋文庫のはジャンバダッタ版でないッてふかそっち版が何話かしかないのでアレ。打ち出の小鎚をもつ超自然のなんぞと接触~それゲットだぜ~身体的なアレ関係の欲望を叶ヘる、はデフォらしい。

 大黒天の槌は、打ち出の小鎚的なのの他、ウォーハンマーとして鼠とか悪者をやっつける。中央アジアの辺でガネーシャの持つ鉞が大黒天へ持ってくとハンマーになったといふ。うがー。さらに弁天様の槌持ってる版があるらしい。

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