檀原照和『ヴードゥー大全』236~7ページ。
原人アダムは遊牧民のやうな獣姦を常としてゐたが、獣に飽きてリリスとまぐはった。リリスはアダムの粗暴なセックスを「気持ち悪い」として紅海へ逃げ、悪魔とまぐはふ。といふリリス傳承は、アダムで代表される遊牧民系があの辺へ行って侵略する前にゐた、農耕民族の太母の話らしい。このアラブとユダヤの傳承に出てくるリリスさんは不明なのだが、他の傳承では土から生まれたとされる。リリスさんに「火属性のものを産んで死ぬ女神」類型がどうたらは一切わからない。「コヘレトの言葉」「伝道の書」「コーヘレト書」の、ダジャレ大爆発なのの他、「イエス像を見て「なんという気味の悪い神を拝む宗教だろう」と本当に嫌いになった」と言ってる宮崎駿さんがこれ読んで「ちょっと楽になった」といふ、アラマイ語だかの地口大爆発の、うざい説教に仏教みが指摘されてゐる。インド関係に関するアレはないと思ふ。
南方熊楠がやったDakan Dakini ヴァジュラドキニといふ ダカン、ダーキニー系の語でヴァムペヤール(Vampire)を指す、いくつかのインド語に、なんか関連があるのか何とかとか言ってゐるおまけで、コーカサスかどっかのダクハナヴァルといふ「足から吸血!!」する妖怪について、関連がインドとどうか微妙と言ってる説と、吸血鬼リリスとの関連がなんか、ううううううううううううううううう、む。西欧でのウルフマニア(狼の憑依)は血液を欲すると言ふ。南方先生の吸血鬼を指す「アスラパス」みたいなのがキャロル・ローズ『世界の妖精・妖怪事典』に入ってた。うむっ。フィメイルゴブリンとかブラッドドリンカーは、はい。
農耕 あの辺の農耕はもふもふを思ひっきり使ひ捲る。散播、種はもふもふで土に埋め、雑草は野菜系なので利用し、収穫する。リリスは狼とフクロウを伴ってなんかする。
東南アジアで 穴掘って「食べるところを埋める」農耕文化を興しトロロ芋系のお芋さんを育てる皆さんが、鶏と豚とわんこを伴って中東へ行って全く異なる文化を作った説。あー、なんか原典を参照すると書いてるのが全然違ふので、怖い。中尾佐助説ではバナナを食料化するのが「五千年以上前」の筈であるが、「中尾さんによれば1万年前」といふ本があって、ちゃんとこれが間違ってるかがわからない。お芋さん文化が体系化した際の指標作物(インディケータークロップ)にバナナと里芋が、と言ひ張るのは良かった筈。BC/AD一桁世紀にバナナ西漸説があった気がするのだが、いいや。
条播 除草 ほかのサヴァンナ農耕文化はこの辺へ行かない。アフリカではお芋さんやバナナを育てまくってゐるが、その系統のお芋さんがアフリカへ来るのは一世紀ころ。「ざっくり穀物文化」ができるのがイランかどっかで年代が不明の筈。稲作はアフリカンサヴァンナ文化のおまけと言ひきれ、アジアで辛うじて存在し得たナラ林文化は十ニ世紀ころ崩壊する。
中尾佐助説での「第四次農耕革命」の特徴に、中耕作業、牛の餌の開発、輪栽の他「牛の舎飼い」があった。それが田んぼで行はれてゐないとする説を中尾先生と説いてる佐々木高明説で、東北日本でかつてあったナラ林文化圏では、照葉樹林文化圏の西部でもあった「榛の木林を開墾して輪栽」する2,5次農耕革命が、とあった。その辺を無視してる筈の『もののけ姫』をなんとなく見てたら、ヤックルさんてふかアカシシの皆さん、畜舎にゐた。それ以前の「ヤックル」が出てくる『シュナの旅』でのアレはまぁ不明でいい筈。「掟を破って鞍を置く」シーンでのアレが畜舎説は、ありましたら宜ひます。農耕文化がどうたらは、具体的にはナラ林は「炒り麦をアカシシと食べるアシタカ」くらゐで、エミシの村には照葉樹林文化の方の特徴である鳥居とかあるし、あ、タタラ場開発部の辺にある里芋畑が照葉樹林文化。
あんまり「中世日本へ転移したお姉さんが結婚と破局の果てに独立国家を作った」に普遍性が認められんなぁ。
スカンクキャベツとやら。カナダ辺に生える非食用の里芋の仲間らしい。「天南星科」がググっても出てこないィ。南方熊楠『十二支考』『虎に関する民俗と伝承』の、全集版では、挿絵Aに、「磔刑時にそこで生えてたのでその際にかかったイエスの血が葉っぱにある」里芋があったのだが、岩波文庫版ではなんかカットされ、虎の脇でもっふもふなジャッカル(若干目が優しい)と、それにかなりまれながら出る吉兆な頭蓋骨(角が生えてるのだ)のイラストが一発目になる。でそのお芋さんは欧州とかに生えてて、イエスの血液がDNA情報にあるにも拘らず食へない。根菜でイエスの祝福があるやつ― 大根とかは無理として― 無理―。
マンドラゴラ 栽培植物ぢゃない。食用の部分は実。「いくつも食うもんではない」とか言はれる。根栽関係と言ひ張ってみる。うーん。サッキュバスが植物の霊であるとかの原型がユダヤにあるか不明である。ブリオニア人類は、えーと。