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巨人とジャックの逆襲

アンドルー・ラング版では、豆は肉屋から貰ふ。ジャックの出自(妖精騎士の息子で、パパは巨人に領地と財宝と命を奪はれた)は豆の木を登った先の辺で妖精さんから聞かされる。

原典に近いと言ふことになってゐるジェイコブズ版では、ぢいさんが、
「豆を体で5まで数えるには」
と問ひ、ジャックが
「手に2個づつ、残りは口で」
と答へるとそれに満足したぢぢいが、その異様な成りの豆を、白牛と引き換へに5個以上提供する。王様がどうたら関係では「212」の配置をするがそれとどうなるかは不明。ラング版でもジェイコブズ版でも、ジャックが飼ってる牛は白いだけで、特に問題がない。鯨ほどのサイズで巨人が飼育して、とか言はれる「乳色の甘い乳の雌牛」(「ア ヴィウッフ ライスウェン レヴリス」 「y Fuwch Laethwen Lefrith」のウェールズ語をグーグル先生に翻訳してもらふと「ミルキー牝牛」)とかではない。

『巨人殺しの~』では冥府が出てくる。世界の関係で、デザインのデフォに212的なものができる言訳が。うーん。

 ジェイコブズ版の方へ復讐譚としての言訳を見る、『幻獣大全』による、E・スペンサー(はぅ)『妖精の女王』での、「コーモラント殺し」ブルーイン卿とその養子関係の話が、ジャイアントキラーのジャックの前日譚である可能性、これらの間に、なんとなく、コーモラン出ないけどジャックと豆の木の話が、ありさう説を、ドラえもん物の基礎に。

なほ、同著によればドラえもんのジャイアンは「Giant」をおフランス風に最後の子音を読まない発音で称したものださうであるが、スペンサーはタームをおフランス語っぽくする趣味があったさうなのでこの話の「コーモラント」はコーモランへ「サイレントの子音を無駄につけた」可能性があるさうである イギリス人もおフランス語が。

 コーモランとサンダレルのナニ。サンデルあるいはサンダレルは十八世紀だか1800年代にできた説があった。

 サンダデルに関し、英語版のWIKIに出てくるウェールズ語の「Taranau」が謎。これもコーモランとかみたいに身長五mくらゐで凶悪で人とか食ふ、筈。

『巨人殺しのジャック』では、知恵が出る帽子、なんでも切れる光の剣、着用者の姿が隠れる上着、一飛び千里の靴はジャックが親せきと称する巨人の家にあり、彼は舌先三寸(のほかにいろいろ、いいや)で巨人から譲り受ける。これと思はれる(原文~)コーモランあるいはコーミスタンは、『幻獣~』説で、Cawr(カウル カムリ語で「巨人」)+Mawr(マウル でかい)ann(形容詞の語尾)といふ語源の可能性がある。カムライグー。

 「オーガーの家に財宝」はなんかのお約束であるらしい。鬼が島に財宝があるのとかと関連するんだらう。知らんけど。
 Ogreは『幻獣~』によれば、シャルル・ペローが17世紀にユッグ(Yggr 懸念 オーディンの別称)とかオルクス(ローマの冥府の神の名)、ウオルコ(イタリアの食人鬼)かなんかからでっち上げたもの。G・マクドナルド『ファンタステス』とか英国のお話にさう言へば出てきた。

「そうだ!食っちまえ!食っちまえ!」(諸星大二郎『影の町』発表が1985年で、ナウシカの映画版公開が1984年で、『ふしぎの海のナディア』公開が1990年で、所収の『僕とフリオと校庭で』発売が1991年で、えーと)
 アレの巨人は、通常の塾の施設とか、小学生の高学年くらゐのガキを掌へ入れる手を持つ程度のサイズ。これの影響を受けたらしい『新世紀エヴァンゲリオン』のナニの設定は身長40mから800m、えーと。「欲望に弱い主人公」のそれが叶ふ異世界が、子供の視点でのあっちに(ルーチンのルートを外れたところなど)存在し、そこでなんか叶って、といふアレ。
 クラウドジャイアントの人は、多分身長五めえとるくらゐの、若干いやぁなサイズの筈。

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