南方熊楠『蛇に関する民俗と伝説』荒俣宏『図像探偵』図鑑の博物誌で良いと思ふんだけどな―、メノ・スヒルトハウゼン『ダーウィンの覗き穴』
アダムとイヴがエデンにあった時、蛇がそそのかしてどうたら。
追ひ出された蛇はイスファハンへ落とされる。イブリースがセムナーン(まぁ北方)、アダムはヒンドスタン(東)でエヴァがジッド(サウジアラビアだから西か)、あー
エスファハンはセムナーンの南方。ユダヤ教系の本で、南方熊楠先生のおっしゃる「十二世紀まではあった」キリスト教関係での固い表皮に被はれた原人説、を発見できず。カヴォドがどうだか不明。リズワーンの資料がない。天使事典で「楽園を守る天使」とのみ。しかもリドワーン表記があるとか、WIKIが全く役に立たないとかある。
フップスネーク(箍蛇) ツチノコも己の尻尾を銜へてごろごろ車輪の如く走ると言はれるが、北米の人もさう言ふ蛇がゐると言ったさうである。あー。荒俣宏先生によれば、ヴィクトリア朝の、蛇研究家の書いた博物学の本には、「蛇は尺取り移動をする」と衒ひなく書いてあるさうである。といふ『図像探偵』(『モルグ街の某』とか『バスカヴィル家の某』みたいな探偵小説関係の他、一応「ボッシュの絵の読み方」引き札に関するいろいろ、他面白いよ)にあるやつの他の、「見んでも書ける」と豪語する蛇キチガヒが書いた普通の蛇が収録の本もあった。
てなづちあしなづち 南方熊楠説では蛇トーテムを指す語なので、なでるんでなくて「手無ヅチ脚無ヅチ」な名前らしい。オホナムチ関係が全部蛇トーテムださうである。
『日本書紀』では「一書に曰く」アシナヅテナヅが旦那の名前とするのがある。
稲田宮主簀狭之八箇耳(イナダノミヤヌシスサノヤツミミ)、日本書紀によれば書物によって男親、女親の名前がある。で古事記では脚撫椎さんはスサノヲノミコトから「稲田宮須賀八耳神」(イナダノミヤスガノヤツミミノカミ)の名前を戴いてゐる。
ナギ ノギ ウナギやアナゴ、アヤナギ(蛇の名)、などナギナゴ系の語へニジが入る。アフリカでいいはずのアイダ・ウェドやアボリジナルのユルルンググル、虹蜺など、虹を蛇とする地方は多い。草薙剣のナギ=蛇説が岩波文庫でも採用されとる。
ミミ=なんか説 「耳がある蛇」は結構ゐる。蛇さんは温度系のPit器官はあるのだが、聴覚器官はないんだよな。
馬絆 色白く衣帯のごとし らしい。長くて馬をなんか血まみれにするものらしい。
Fat snake はD・ディクソン『アフターマン』に出てくる豪州亜大陸の毒蛇。腰とか尻尾の辺がデブ。江口夏実『鬼灯の冷徹』での八岐大蛇、あのやうに真ん中がぽっちゃりしたデザインは、元々あったらしく、トウビョウが「中太く先が細る」と言はれるとか、のづちもさういふフォルムであるとか、アレは当たったみたいである。あと、蛇は蛸と関連するとされた。なのでヒドラ八岐大蛇と蛸関係が関連するとか、蛸クラーケン烏賊クラーケンの他に蛇クラーケンがゐてもいいらしいとかあるらしい。のづち起源説で「煩悩にまみれた」「叡山の僧」が死んでそれに転生したと言ふ傳承が。そして何ぞ「尻尾の切れた蛇」の尾の部分が微妙に固くなってゐるので、そこから玉になった可能性があるらしい。南方先生は小野蘭山等の説くヤマカガシ(耳があるさうである)の「獲物を食べると高いびきして寝る」旨をツチノコ関係と紐付けて話してくれない。荒俣宏関係(故矢口高雄関係でなくて)、えーと(なんかある)
石田英一郎先生は、「水属性の精霊は馬とか好き」傳承を南方熊楠資料から結構紹介するが、南方先生ご自身は河童について「蛇のアレ」とし、支那からの傳播を一応認めない(強い毒を持つ蛇が日本のどっかにゐればこの説が成立するといふの附きで)。
伊弉諾伊弉冉 のナギは蛇説。
殻付きだけどアオイガイ(葵貝なので「アフヒガヒ」) メノ・スヒルトハウゼン『ダーウィンの覗き穴』37頁によれば、リンネは、タコブネの触腕が、全力で「帆」を主張してゐる点から、多分これは何か風を受ける器官であらうとして アルゴナウタ・アルゴと命名した。勿論葵貝さんは水中でふよふよしてゐる。その触腕は、殻を作るのに用ゐられる。その紙のやうに薄い殻は、他の頭足類のやうに体とくっついてゐない。その中に卵ができ、空気が入り、お子さんがある程度まで育つ。方解石製のこれを持つ雌の方は、クラゲと共生してゐる可能性があるさうである。そんでもってキュヴィエによって寄生虫呼ばはりされたちんこ(そのキュヴィエの黒歴史ヘクトコティルス オクトポディスは蛸生殖器の名前として使はれてゐる)を持つ矮雄はサルパと共生(『ダーウィンの某』337頁)し、ちんこだけ雌へ突っ込む。
「かなりの数の人が「うさんくさー」と言うとる」(M・スヒルトハウゼン)の前置き付き説で、タコブネの祖先が、アンモナイトの殻(霰石製)を使って、おかんがそこへ産卵し、大きくなるまでそこで、ヤドカリみたいに生活してゐるうちに、自前の殻を作るやうに進化した、と言ふものがある。